※本稿は、藤田卓也『伝え方で損する人 得する人』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
「損する伝え方」は良かれと思って生まれる
「得する伝え方」ならば、人生の何気ないやり取りから決めどころまで、いつものコミュニケーションがクリティカルヒットに生まれ変わります。
一方で、それを出し続けるためには基本となる原則まで知っておくことが重要です。予期せぬ場面に出くわしても、その場面における「得する伝え方」を考えるヒントになるからです。
もう一つ大事なメリットがあります。「損する伝え方」の多くは良かれと思って生まれています。伝える場面があまりに多すぎるので、気づかぬうちに無意識にまずい伝え方を繰り返してしまっていることがほとんどです。原則を知っておけば、それはあなたの伝え方を見直すチェックリストになります。
「忙しいから手伝って」ではストレートすぎる
「ことばとビジョンとの総合」
1963年、日本で初めて、その年の優れた広告コピーをまとめた『コピー年鑑』が発行されました。その中で、どういうコピーが優れているのかについて記したのが冒頭の一文です。半世紀以上も前に書かれた言葉とは思えないくらい、今に通ずる視点です。
言葉は、それ単体ではその言葉の持つ意味しかありません。業務で忙しいからといって、「忙しいから手伝って」と伝えるのではあまりにストレートすぎるのです。忙しいのは伝わるし、手伝ってほしいことも分かります。実際、この伝え方で手伝ってくれることもあるでしょう。
ですが本書で目指す「得する伝え方」は、言われた方の気持ちが動き、思わずやりたくなるような伝え方です。ただ事実を伝えるだけでは、言われた方が「よし、ここは一つ気合を入れてしっかりサポートしよう」とか「ぜひ他に手伝えることはないだろうか」と前向きになることはありません。
言葉にビジョンが加わることで、「伝わる言葉」になるのです。ただの「伝え方」を「得する伝え方」に進化させるには、3つの原則があります。