シニアが幸せになるために重要なことは何か。ソニー元常務取締役の郡山史郎さんは「自分の幸せを誰にも任せず、委ねず、自らの判断でつかみ取れる。これは定年したシニアのものすごく大きなアドバンテージだ」という――。

※本稿は、郡山史郎『君の仕事は誰のため?90歳現役ビジネスマンが伝えたい「自分を活かす」働き方』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

鉄工所で働く高齢男性
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人生の後半で幸せになる一番簡単な方法

まわりのために、自分という人間を活かす。そうして他人を喜ばせることが、自分自身の喜びになっていく。仕事の中身や報酬を超えた「働くこと」の本質に気づいたいまは、会社に行くだけで幸せな気持ちになれる。

ここで断言しよう。

人生の後半戦で幸せになるために、一番簡単な方法は「働く」ことだ。働くことで、人は誰でも幸せになれる。

なぜかといえば、働くということは社会や他の人の役に立つことであり、人間は誰かの役に立つと幸福感を味わうようにできているからだ。

私自身のことを振り返ると、いつの頃からか働くこと自体が楽しくて仕方なくなった。

それはやはり、誰かの役に立ち、社会に貢献している実感があるからだ。

楽しさは幸せに直結するのだから、幸せになりたいなら働くことが近道だという私の考え方は、きっと間違いではない。

オフィスのラップトップでAIを制御するビジネスマン
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なすべき仕事は自分自身で決める

年を取れば誰でも知力や体力は低下していく。足腰が痛い、字が見えない、ものをつかめば落とす、やろうと思っていたことを忘れる……できないこと、不便なことのオンパレードである。ここまで書いてきたように、老いは生物としての人間の宿命なのだから逆らうことはできない。

それはそれで受け入れるとして、ではそうして衰えていくなかでも、楽しく、面白く生きる方法はないかと考えたとき、私のなかに確固たる自信とともに浮かんできたのが、「働く」ことなのである。しかも、人生の前半戦と比べて、後半戦で「働く」ことははるかに大きな幸福をもたらしてくれることを実感している。

理由はいろいろ考えられる。

たとえば、定年後は現役時代のような責任や義務がなくなるし、失敗して上司から怒られることもない。そもそも、仕事に関して断る選択肢がないような命令を受けることはなく、目の前の仕事をやるかやらないかは自分で決められる。なすべき仕事を自分自身で決められるだけで、人は幸せを感じるものだ。

言い換えれば、現役時代は自分の幸せも会社任せの部分が大きかった。いわば会社に幸せにしてもらっていたようなものだ。

しかし定年後の高齢者は、自分の幸せを誰にも任せず、委ねず、自らの判断でつかみ取れる。これは定年したシニアのものすごく大きなアドバンテージだ。