物価上昇が続く中、スーパーの市場環境は厳しくなっている。流通アナリストの中井彰人さんは「そのなかで、増収増益かつ営業利益率改善を達成したのが、バローホールディングス、ライフコーポレーション、アークスだ。バローはドラッグストアなどの複数業態を運営しているため、スーパーの規模で言うと、最大かつ業績好調なスーパーの筆頭はライフということになる」という――。
ライフの看板、ロゴ。=2023(令和5)年7月25日、日本
写真提供=日刊工業新聞/共同通信イメージズ
ライフの看板、ロゴ。=2023(令和5)年7月25日、日本

スーパーの市場環境は厳しい

毎年2月、3月に大半の上場スーパーの決算発表があり、この時期には主要企業の業績が概ね出そろう。2025年度の各社の業績を並べてみると、イオンを始めとする23社のうち、14社が増収増益だった。と聞くと、市場環境はそこそこよかったように見えると思うのだが、少し細かく見ていくと、どうもそうでもなさそうだ。

前期との比較を一覧にしたのが図表1である。営業総利益率(≒粗利率)が改善したのは12社/23社、販管費率が高くなってしまったのは12社/23社、営業利益率で改善となったのは7社/23社しかなかった(=16社悪化した)と言えば、実は厳しかったことがご理解いただけるだろう。

スーパーは物価の上昇が続く中、なかなか価格転嫁するという訳にもいかず、利幅が薄くなりがちである。それにもかかわらず、人件費上昇、電気代の高騰によって販管費率が上昇に向かっており、営業利益率は悪化する、というのが大きな流れなのである。

【図表1】上場食品スーパーの業績動向

「総合スーパー」の道を選ばなかった

そんな環境下、増収増益かつ営業利益率改善を達成したのが、上位ではバローHD(以下、バロー)、ライフコーポレーション(以下、ライフ)、アークスであった。バローはドラッグストア、ホームセンターなど複数業態を運営しているので、スーパーの規模で言うと最大かつ業績好調なスーパーの筆頭は、ライフということになる。

ライフと言えば、ダイエー中内氏、イトーヨーカ堂伊藤家、イオン岡田家などと並び、業界第一世代の経営者として名高い故清水信次氏が育てたスーパーであったが、清水氏の意向によって現在の筆頭株主は、大手商社三菱商事で、いわゆる商社系のスーパーに位置付けられる。

第一世代のスーパーは総合スーパーがほとんどで、全盛期には、ダイエー、イトーヨーカ堂、西友、ジャスコ(現イオン)、ニチイ(⇒マイカル)、ユニーなどが小売業上位を独占していたような存在だったが、イトーヨーカ堂さえもファンドの傘下となった今、独立経営の大手はイオンくらいしかなくなった。

ライフは古くからこうした総合スーパー各社とは異なる道を選び、大阪そして後には東京と合わせた大都市における食品スーパーとして展開して地道に成長を続け、現時点ではイオングループ、ヨーカ堂が属するヨークHDに次ぐ業界屈指のスーパーとして生き残った。