政府は7月24日、外国人受け入れのあり方について検討する有識者会議を新設した。外国人問題を取材するライターの九戸山昌信さんは「在留外国人の規模を管理する量的マネジメントを含めて検討するということだが、期待できないだろう。政治家を支援する企業からの要望があるからだ」という――。(後編/全2回)
グループインタビューで記者の質問に答える小野田紀美経済安全保障担当相=2025年11月17日、東京都千代田区
写真=時事通信フォト
グループインタビューで記者の質問に答える小野田紀美経済安全保障担当相=2025年11月17日、東京都千代田区

日本人の給与を上げずに外国人を受け入れる謎

政府や自治体は、外国人雇用の拡大政策を継続している。本来であれば、賃金環境を改善して雇用流動を促すべきなのに、文化摩擦や受け入れ負担を容認してでも拡大政策を続ける。いったいなぜなのか。

高市首相は「外国人との秩序ある共生社会」を謳う。この“共生主義”は、移民の流入を厳格化し強引とも言える帰国事業をとらざるを得なくなった欧米の状況をみれば、混乱が起きるのは明らかだ。

国民世論において移民政策(=共生政策)に対するアレルギーが強まるのと反比例するように、高市首相をはじめ、国会議員から自治体首長、地方議員に至るまで、“共生派”ばかりになった。これはあくまで政治の合理的判断の結果なのか、そうならざるを得ない別の理由があるのか――。

一般庶民の声が届かない絶望的非対称

政策の意思決定の環境を俯瞰すると覚える違和感は、政治家が直接的に意見や声を聞く“国民”の属性が、政策恩恵を享受できる企業(経営者)側、つまり外国人雇用で利益を得る側に大きく偏っている点だ。国民と企業との間には、“陳情格差”とも言うべき、要望や意見を「直接的に」届けられる環境の絶望的なまでの非対称性がある。この政治と企業の距離感の近さは、政治資金規正法に触れるような不適切な癒着関係ではなく、合法的で日常的な関係性の深さだ。

ある自民党OBによれば、与党が長い自民党議員や与野党相乗りで当選した自治体首長ほど、支援者や後援会幹部は地元中小企業や団体の経営者側であることがほとんどだという。政治家がいう「地域の声」の主は、地域の一般庶民ではなく、外国人雇用で利する経営者の声に偏る。

大臣や知事クラスが面会するのが、業界団体や幹部公務員、企業関係者ばかりなのは、動静情報で確認できる事実であり、決して年収400万円前後の人間ではないのだ。政治家の一般庶民との接点は地元イベントでの立ち話程度にとどまるという。政治家が会議室や電話、会食などで時間を作って「対面の直接的な接触」で意見や要望を聞く相手は、常に企業の経営層に近い人物ばかりだ。