将来への不安からデリケートになっている受験生に、親はどう対応すればいいのか。志學舎副塾長の松澤保成さんは「親が不安な気持ちでいると、声をかけても子どもを追い込んでしまう。まず、朝の声がけから変えるようにしてほしい」という――。

※本稿は、松澤保成『「自ら勉強する子」の親がしているたった1つのこと』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。

寝ている男子中学生
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朝の声がけでメンタルがダウン

朝は、親子関係の深さがもっともストレートに伝わる時間です。

朝という1日のスタートで子どもが受け取る、たった5秒の言葉が、その日の集中力も、メンタルも、粘り強さも変えてしまいます。

だからこそ、わずかな5秒が子どもの合格の可能性を大きく左右するのです。

ある高校3年生の男の子の話です。

彼は真面目で努力家なのに、模試になると点数が安定せず、自己肯定感が下がり気味でした。

そんな彼が、ある秋の日、ぽつりとこう言いました。

「最近、朝の母のひと言で、その日の気分が下がるんです」

聞くと、お母さんは、毎朝のように「今日はちゃんとやるのよ。昨日あんまり進んでなかったでしょ」と声をかけていました。

心配だからこそ、です。

でも、その言葉が彼の胸にはプレッシャーとして届いてしまっていました。

そこで私はお母さんに、「安心を渡す5秒にしてみてください」とお伝えしました。

肯定の言葉を言うようにした

翌日から、お母さんは意識して言葉を変えました。

「行ってらっしゃい。昨日もがんばってたね」
「今日も大丈夫。あなたならできるよ」

すると一週間後、彼の表情が見違えるように明るくなりました。

「朝にあれを言われると、心がスッと落ち着くんです。なんか味方がいるって思えるんですよね」

それから彼は模試でも実力を発揮できるようになり、最終的に第一志望の大学に合格しました。

勝因を聞かれると、彼はこう答えました。

「母の言葉のおかげで、自分を信じられるようになったからです」

勉強の内容よりも、参考書よりも、お母さんの言葉が彼のメンタルを支える土台になっていたのです。

子どもを変えるのは「親の気持ち」

子どもの1日は、「朝の親の表情」「朝の親の声」「朝の親からの安心感」で決まります。

大切なのは、どんな気持ちで、その言葉を届けたかという親のあり方です。

「あなたを信じているよ」
「昨日の努力、ちゃんと見えたよ」
「今日もあなたの味方だよ」

この3つさえ伝われば、子どもはその日、揺れにくくなります。

毎朝の5秒の積み重ねが、親子の関係を深め、子どもの心に折れない芯を育てます。