動画の倍速視聴で学習効果は高まるのか。脳研究者の澤田誠さんは「2021年の実験では、2倍速までは学習効果が変わらないものの、それ以上の速度では理解度が低下する結果が得られた。ただ、語学学習など、未知の単語や複雑な論理が含まれる場合、脳は『意味の解析』に全力投球するため、直後に流れてくる情報の保持が追いつかなくなってしまう。情報の余裕を作ることができる速度で視聴することがおすすめだ」という――。
※本稿は、澤田誠『科学的根拠で証明する上手な脳の使い方』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
「倍速視聴」で効率的に情報を得られるか
映像の再生速度を、1.5倍や2倍など好みの速度に変えて効率的に情報を得る「倍速視聴」。
倍速視聴を使う人は全年代に広がっており、いまや50~60代でも3~4割の人が倍速視聴を経験しているという調査結果があります。
主にZ世代が「タイム・パフォーマンス(タイパ)」を重視する中で普及し、自分にとって価値があることに時間を効率的に使いたい目的で利用されているようです。
すでにさまざまな映像プラットフォームや再生装置でニーズに合わせて速度を変えて再生できるオプションが導入されているので、利用したことがある人も多いのではないでしょうか。
結論から言えば、正確なインプットを目的とする場合、倍速視聴は脳科学的にはあまりおすすめしません。
たしかに、1時間の動画を2倍速で見れば半分の30分ですみますし、講義の録画を繰り返して見たい場合などには同じ時間で2回視聴できます。
大まかな内容を捉えるのには使えますが、私は倍速視聴するにしてもせいぜい1.5倍速程度までと考えています。
気をつけたいのは、倍速視聴しているときは脳の集中度が増すので、交感神経優位な状態、つまりストレスがかかった状態になるということです。
長時間倍速で視聴すると、アドレナリンなどのストレスホルモンの増加で、呼吸が速くなったり心拍が増大したりすることがあります。
以前私が出演した番組では、たった1分間の倍速視聴で交感神経が興奮してしまうという結果も示されました(2023年7月3日放送 日本テレビ「カズレーザーと学ぶ!」)。

