母娘の間にズレがあった

お母さんは驚きました。

彼女を突き放したつもりなんて、まったくなかったからです。

言葉の裏にあったのは、愛情とあせり。

ですが、子どもが受け取ったのは、愛情とは真逆でした。

「いちばん不安なのは私なのに……その気持ちをわかってもらえなかった感じがして、悲しくなるんです」と、彼女は涙ながらに語りました。

それを聞いたお母さんも涙を流しました。

「そんなふうに聞こえていたなんて……。私はただ、がんばってほしかっただけなのに」

この親子はお互いの気持ちのズレに気づき、その日を境に対話が増えていきました。

「親のあせり×子どもの不安」

「自分の将来でしょ?」という言葉は、親からすれば愛情の裏返しかもしれませんが、子どもからすれば、突き放されたように受け取ってしまいます。

松澤保成『「自ら勉強する子」の親がしているたった1つのこと』(日本実業出版社)
松澤保成『「自ら勉強する子」の親がしているたった1つのこと』(日本実業出版社)

なぜかというと、親がこの言葉を使うとき、その心の奥には、これ以上どうしたらいいかわからないという不安が潜んでいるからです。

一方、子どもはこの時期、自分ひとりで背負うには重すぎる将来の不安を抱えています。

だからこそ、「親のあせり×子どもの不安」という2つがぶつかった瞬間、子どもは「私だけに責任を押しつけられた」と感じてしまうのです。

子どもが本当にほしいのは、「将来はあなたのもの。でも、あなたはひとりじゃないよ」というメッセージです。

「自分の将来でしょ?」ではなく、次のような言葉が子どもに届きます。

「一緒に考えていこうね」
「あなたの気持ちを聞かせてほしい」
「あなたが選ぶ道なら、私は応援するよ」

親の役割は、未来を決めることではなく、未来へ向かう力を育てることです。

その力は、厳しい言葉ではなく、寄り添う言葉で育ちます。

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