親の言葉は毒にも薬にもなる
こんな経験はありませんか?
同じ言葉を言ったはずなのに、ある日は子どもが笑ってくれたり、別の日には不機嫌になってしまったり。
「え、なんで? 昨日は喜んでくれたのに……」
じつは、これは珍しいことではありません。
言葉そのものに魔法の力はないからです。
同じ言葉でも、毒にも薬にもなります。
大切なのは、言葉のなかに流れる親の心のあり方です。
薬になった「がんばって」
ある中学3年生の女の子の話です。
受験直前で緊張していたとき、お母さんはそっと言いました。
「がんばってね。あなたなら大丈夫」
その瞬間、娘さんは目に涙を浮かべて笑いました。
「お母さんが言うと、安心する」
このときのお母さんの心には、あせりはありませんでした。
「信じてるよ」という言葉の温かさ。
子どもの胸に薬のように染み込んだのです。
毒になってしまった「がんばって」
一方で、別の家庭の話です。
模試の成績がふるわない中学3年生の男の子。
結果を見た瞬間、お母さんは思わず言ってしまいました。
「ほら、がんばらなきゃダメじゃない!」
同じ「がんばる」という言葉。
でも、このときの「がんばって」は、あせりや不安、失望が混じっていました。
親御さんは、子どもの未来を思うからこそ、口が先に動いてしまっただけかもしれません。
けれども、子どもは敏感です。
そのひと言を聞いた息子さんは、肩を落として言いました。
「無理だよ、もう……」
言葉の意味は同じでも、届ける心によって刃になる。
魔法の言葉はありません。
あるのは心の温度。

