親の言葉は毒にも薬にもなる

こんな経験はありませんか?

同じ言葉を言ったはずなのに、ある日は子どもが笑ってくれたり、別の日には不機嫌になってしまったり。

「え、なんで? 昨日は喜んでくれたのに……」

じつは、これは珍しいことではありません。

言葉そのものに魔法の力はないからです。

同じ言葉でも、毒にも薬にもなります。

大切なのは、言葉のなかに流れる親の心のあり方です。

薬になった「がんばって」

ある中学3年生の女の子の話です。

受験直前で緊張していたとき、お母さんはそっと言いました。

「がんばってね。あなたなら大丈夫」

その瞬間、娘さんは目に涙を浮かべて笑いました。

「お母さんが言うと、安心する」

このときのお母さんの心には、あせりはありませんでした。

「信じてるよ」という言葉の温かさ。

子どもの胸に薬のように染み込んだのです。

マークシートに鉛筆で記入する手
写真=iStock.com/agrobacter
※写真はイメージです

毒になってしまった「がんばって」

一方で、別の家庭の話です。

模試の成績がふるわない中学3年生の男の子。

結果を見た瞬間、お母さんは思わず言ってしまいました。

「ほら、がんばらなきゃダメじゃない!」

同じ「がんばる」という言葉。

でも、このときの「がんばって」は、あせりや不安、失望が混じっていました。

親御さんは、子どもの未来を思うからこそ、口が先に動いてしまっただけかもしれません。

けれども、子どもは敏感です。

そのひと言を聞いた息子さんは、肩を落として言いました。

「無理だよ、もう……」

言葉の意味は同じでも、届ける心によって刃になる。

魔法の言葉はありません。

あるのは心の温度。