円安の責任は、誰にあるのか。名古屋商科大学ビジネススクール教授の原田泰さんは「日本に関税をかけ、巨額の対米投資を求めながら、円安を批判するのは無理難題だ。これらのトランプ政権の要求自体が、円安を促す要因になっている」という――。
円安を批判する張本人が円安を招いている
2026年9月22日の日米首脳会談で、トランプ米大統領が足元の為替水準について「円安によって米国の貿易が厳しい」との懸念を伝えていた。高市早苗首相は「一般論として円の過小評価は問題」と応じたとのことだ(「首相に円安懸念示す トランプ氏、日米会談で」日本経済新聞2026年9月26日)。
しかし、円安はトランプ大統領のせいである。為替レートは円とドルの需要で決まる。そう理解した時、トランプ関税もトランプ氏の5500億ドル対米投資要求も円安要因だからだ。
まず、12.5%(一般)ないし15%(自動車・同部品)の関税をかけられたら、当然日本の輸出は減少する。日本の財を購入するための円の需要は減少する。したがって、円は下がる。もし下がらなければ、日本の輸出競争力は大きく低下して、輸出企業の国内の雇用も投資も減少し、景気が悪化する。
円が下がると輸入物価が上がって国民を貧しくするという議論があるが、この影響は誇張されている。テレビコメンテーターは、円が10%低下すれば物価が10%上がるというような議論をしているが、これは自分がハワイに行ってハンバーガーを食べた時の経験に基づく誤解である。
たしかに、ビッグマックの値段は、日本で480円、アメリカで6.12ドルだから(BigMacIndex.Jp)、1ドル=160円なら979円で2.0倍だ。ところが、1ドル=120円の円高になれば734円だから1.5倍ですむ。だから、円安が国民生活を貧しくするという。

