グッドニュースが先言いづらいことは後に
言わずに済むなら言いたくない。断り、叱り、ダメ出しすると嫌われるかもしれない。伝えるのを躊躇したくなる場面は、仕事でもプライベートでもよくあるのではないでしょうか。
ネガティブな情報を伝えるとき、私たちは「言いづらい」と感じ、心理的ストレスを受けています。相手が落ち込んだり、怒ったりするなど「自分も不利益を被るかもしれない」と予見しているからです。人間関係にヒビが入ったり、最悪の場合は壊れたりするかもしれないし、相手が自分に反感や敵意、時には恨みや憎しみを抱くかもしれない。その一方で、言わずに我慢すると後からしわ寄せがきてしまいます。
言いづらさを感じたら、まずはそのネガティブな情報が「事実」だと割り切ること。事実を伝える本人には非がありません。しかも、相手には「事実を知る必要性」があるわけです。そう受け止めれば、心理的ストレスは緩和されます。ただし、事実だからとストレートに伝えるのではなく、相手が受け入れやすくする工夫をすべきです。伝える事実は同じでも、話す順番や口調などの伝え方は無数にあります。
話す順番で効果的なのは、「イエス・バット話法」です。グッドニュースを先に言って、言いづらいことを後で言う話し方です。ネガティブ情報を先に言うと、相手はショックで頭が真っ白になり、後からポジティブ情報をいくら与えても、耳に入らないことが多いからです。いい話でクッションを挟むことができれば「これからバッドニュースがあるな」と話の展開を予想する心のゆとりが生まれ、心理的なダメージを和らげる効果が期待できます。
「言いづらさ」から始まるネガティブな会話だと、お互いに興奮して強い口調になったり、早口になったりしがち。そこで、話すスピードを普段よりも約3割、あえて落としましょう。ゆっくり話そうとすれば、そこに意識が向くので冷静になります。呼吸も深くなるので、副交感神経が優位に働き、気持ちが落ち着きます。すると、自分につられて相手の話すペースもダウンし、相手の感情も沈静化するのです。そうした現象を、心理学では「感情伝染(情動感染)」と呼びます。
よく「目は口ほどに物を言う」と言いますが、伝え方では表情や身振りといった「非言語コミュニケーション」も肝心です。深刻な話では厳しい顔つきになりやすいので、柔らかい表情を作るように心がけてください。アイコンタクトにも緩急をつけ、最も重要なことを言うときに相手の目を見ると、誠意が伝わります。「言いづらいこと」をうまく伝えられるように、ぜひ試してみてください。
できない事実は明確に次回の意思は暗に伝える
今後の関係を考えると断りたくないけれど、どうしても断らなければいけないタイミングは仕事でもプライベートでもあるかと思います。せっかくのオファーを断れば、相手が失望し、感情を害するのではないか。今後声がかからなくなってしまうのではないか。「どうやって断るべきか」と、苦慮する人も多いでしょう。人間関係にヒビを入れずに「明確に断りの意思を伝える方法」をご紹介しましょう。
相手に嫌な感情を抱かせないためには、伝える順番が極めて重要です。具体的には、①感謝・謝罪⇒②断る理由⇒③断り⇒④代替案という4つのステップを踏むといいでしょう。
例えば、取引先から夜の会食に誘われたのに断らなければいけない場合は、①まずは「お声がけいただき、ありがとうございます」といった感謝の言葉や、「申し訳ありません」といった謝罪の言葉を述べてから、②「子供を保育所に預けていて、自分が迎えにいかなければなりませんので」といった断る理由を説明します。そのうえで、③「今回は残念ながら、ご一緒できません」と正式に断るのです。
順番として、断りの言葉が3番目なのがポイント。最初に結論、つまり「断る」事実を口にしてしまいがちですが、そうすると、相手の「感情反応」を引き起こすリスクが高まります。
ここから先は有料会員限定です。
登録すると今すぐ全文と関連記事が読めます。
- 広告最小化で快適な閲覧
- 雑誌『プレジデント』が最新号から読み放題
- ビジネスに役立つ学びの動画が見放題
- 会員限定オンラインイベント


