迎合しても、言いなりになる必要はない
第3は、それはそれとして迎合する。迎合するとともに嫌味をいうことだ。NATOのマルク・ルッテ事務総長はトランプ大統領を誉めそやす。辞任してしまったが、イギリスのキア・スターマー首相もイギリス王室まで使ってゴマをする。
チャールズ国王は、それに対して、6分のお世辞と4分の嫌味で返す。国王は、かつて英国海軍に存在した潜水艦「HMS トランプ」の鐘をトランプ氏に贈呈したが、潜水艦部隊が別名「サイレント・サービス(静かなる奉仕)」と呼ばれていることから、騒がしいトランプ氏に対する皮肉ではないかと話題になった。
アメリカですら、習近平主席にそうしている。トランプ氏が自ら空港に迎えに行くなど異例の接遇をしている中で、ホワイトハウスでの晩餐会において、米海兵隊軍楽隊は、『レ・ミゼラブル』の「民衆の歌(Do You Hear the People Sing?)」と台湾の歌手テレサ・テンが歌った「月はわが心(日本での曲名は永遠の月)」を演奏した。
「民衆の歌」は、香港の民主派が抑圧に対する抵抗や自由への渇望のシンボルとして歌った曲だ。テレサ・テンは台湾軍の慰問活動を精力的に行い、「軍の恋人」と親しまれ、1989年の天安門事件では、香港で行われた民主化支援集会に参加し、「民主主義が中国に訪れない限り、私は中国大陸の土を踏まない」と宣言して、「月はわが心」を熱唱した。習夫人の彭麗媛(パン・リーユアン)氏は人民解放軍の専属の歌手で、軍の恋人とも言われたから、このメッセージを明確に受け止めただろう。これらの曲の選択は嫌味としか思えない。
結語
トランプ氏が、日本に関税をかけ、莫大な対米投資を要求し、かつ円安にするなというのは無体である。それに対して、理屈で説得するのは難しいが、真実に固執し、時を待つことはできる。日本国内の議論が無体な議論に迎合しないことを望みたい。
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