首都機能の代替、東京一極集中の解消…

いわゆる「副首都法」が7月に成立したのを受けて、政府は10月2日に指定要件を盛り込んだ政令案を公表、具体的な候補自治体の選定が本格的に始まる。副首都法の正式な名称は「国家社会機能継続性確保施策及び副首都の整備に係る施策の推進に関する法律」といい、東京が大規模災害に襲われた時に首都機能を代替するほか、東京一極集中を正し、経済圏を分散させることが狙いだとしている。

会談に臨む高市早苗首相(右)と日本維新の会の吉村洋文代表=2026年9月16日、首相官邸
写真=共同通信社
会談に臨む高市早苗首相(右)と日本維新の会の吉村洋文代表=2026年9月16日、首相官邸

すでに、大阪府や愛知県、福岡県、北海道のほか、宮城県、群馬県、広島県などが申請に意欲を示しているとされる。10月末にも最終的に決まる見込みの政令では、一定の人口や経済規模に加え、首都直下地震や富士山噴火によって東京圏と同時に被災する可能性が低いことなどを要件とする見通しで、道府県単位で指定する方向という。報道によると、大阪、愛知、福岡、北海道が政令の要件に該当しそうだという。

「副首都」を作るのが正解なのか

政治、行政、金融、経済などの機能が東京に一極集中する中で、東京が大地震に見舞われた際の危機管理として代替機能を準備しておく必要があると言われれば、多くの人は反対できないだろう。だが、災害はどこを襲うか分からないし、地震や火山の噴火だけではない。台風や大雨による水害、乾燥による森林火災など、すでに多様な天災が日本を襲う頻度を高めている。それにいかに備えるかを考えることが重要であることは論をまたない。

しかし本当に「副首都」を作るのが正解なのだろうか。副首都がどんな機能を担うのか、具体的な検討はこれからだが、「副首都」という名称からは首都と同等の機能を果たせる都市を作るというイメージだ。内閣や国会、中央官庁などのスペアがもうひと組かふた組できると想像される。日本はこれから、猛烈な勢いで人口減少が進んでいくが、そこに、今の東京と似たものを作るのだろうか。

東京の代替機能をどうするか、という問題は、長年議論されてきた。1980年代後半のバブル期に、企業が本社を東京に移す動きが加速、東京への一極集中が進み、地価高騰が大問題になった。この頃から「首都移転」や「道州制」が盛んに議論された。1992年には「国会等の移転に関する法律」が制定され、1999年には、移転候補地として「栃木・福島」「岐阜・愛知」などが国の審議会から答申されたこともあった。だが、バブル崩壊による景気悪化などで事実上頓挫、「首都移転」はほとんど議論の俎上に載らなくなった。