財政負担として国民にツケが回る

一方、国民民主党は、政令指定都市を道府県から独立させる「特別市(特別自治市)」を法案に盛り込むよう提案した。特別市は指定都市市長会が2010年に提案したもので、横浜市や川崎市が積極的に主張している。

神奈川県には、横浜市と川崎市、相模原市の3つの政令指定都市があり、神奈川県の人口の3分の2が住んでいる。横浜市などは県と市の二重行政を排除できるとしているが、もちろん、神奈川県は反対している。国民民主と自民党は会期末ギリギリまで調整したが、結局、意見が合わず、国民民主は副首都法案に反対した。

大阪や福岡からすれば、副首都に選ばれれば、インフラを整備する国の予算が増え、経済効果が大きいと読んでいるのだろう。大阪が選ばれた場合の経済効果は13兆円という試算もあるようだ。だが、今後、猛烈な勢いで人口が減っていく中で、これだけの投資を行っていく余力が国にあるのだろうか。結局は財政負担として国民にツケが回ってくるのではないか。

天秤の皿の上に積み上げられたコイン
写真=iStock.com/sommart
※写真はイメージです

副首都を作ることで国の権限が移譲され、道州制につながっていく、という解説もシンクタンクなどにあるが、前述の通り、国の官僚は自分たちの権限を絶対に手離したくないわけで、よほど政府が強いリーダーシップを発揮しない限り、霞が関を弱体化させることは難しい。

副首都が「解」になっているとは思えない

また、新型コロナウイルスが蔓延した折、病床の管理などを都道府県知事が握っていたことが、対応が遅れた一因だという主張が繰り返された。結局、国の権限を強める必要があるとして、「危機管理庁」の設置が叫ばれ、2023年9月に内閣官房に「内閣感染症危機管理統括庁」が設置された。また、憲法改正論議でも、危機時に首相に強力な権限を与える緊急事態条項を盛り込むべきだという主張がなされている。現状では、分権ではなく、国の権限の強化に流れが傾いており、副首都が道州制につながるとは考えにくい。

防衛や外交は国が行うとして、経済や産業、生活に関する政策は権限を自治体に移譲し、現場に近いところで判断が下せるように体制を見直していくべきだろう。日本国内の基礎自治体は市町村と特別区23区で1741もあるが、人口の減少で自治体としての機能を維持できないところが増えつつある。一方で、財政が黒字で「自立」できている市町村はわずか86に過ぎない。あとは国からの地方交付税交付金で赤字を賄っている。つまり、自治体とは名ばかりの国頼みの市町村ばかりなのだ。

そろそろ国の下に都道府県があり、その下に基礎自治体があるという明治以来の日本の地域の統治構造を抜本的に見直すべきではないのか。その意味では、副首都が解になっているとは到底思えない。

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