経産省レポートが暴いた「ウソ」
外国人労働者がいないと社会が崩壊する――。
こんな言説が支配的だが、経産省が1月26日に発表した「2040年の就業構造推計(改訂版)」は、この大前提を真っ向から覆すものだった。同レポートによれば、現場人材や生産工場従事者、AI・ロボットなどの利活用人材は大きく不足するものの、合理化や事務職における437万人の余剰分などの雇用流動を加味すれば、2040年時点でも「大きな人手不足は生じない」と結論付けている。
しかし、高市早苗政権の方針は真逆の対応だった。レポート発表のわずか3日前の1月23日の衆議院解散直前の閣議決定では、特定技能の対象分野に「リネンサプライ」など3分野を新たに追加。外国人労働力の供給をさらに拡大する決定を下した。これは、同分野で働く日本人労働者の賃上げを抑制する要因ともなる。
しかも、28年度末までの育成就労と特定技能1号における123万人の上限値は、1号から移行可能な「特定技能2号」への“移行組”は除外される数字であり、上限と言えるかは微妙だ。
やっぱり政府は“移民”政策を進めている
この「2号」は更新回数に上限がなく、養子を含む家族帯同や永住権、帰化申請も可能な在留資格だ。23年に対象業種が2→11分野に拡大された結果、本格的に増え始め、25年11月末時点で6744人(24年11月末で673人)となった。特に飲食料品製造業や外食業という“参入障壁”が低いとみられる2分野だけで全体の41%を占める。試験の対策も進み、高い合格率を宣伝する支援組織もある。
入管庁の調査では在留外国人の永住志向は61.8%であり、「留学→技人国・高度専門職→永住者」ルートが金銭的に難しい移民希望者は外食など、「2号」の容易な分野を目指すことになるだろう。政府がいかに移民政策であることを否定しても、制度は事実上の移民目的での在留を可能にしている。
特定技能や技能実習(27年から育成就労)の在留資格で働く外国人の月収は、20万~24万円程度と低い。原則として、外国人労働者は同じ職場の日本人と同等以上の待遇が求められるが、受け入れ先の63%は利益率が3%程度と低い小規模事業者であり、賃上げの原資が乏しいのが実情だ。
本来、人手不足に直面すれば、企業は価格転嫁による賃上げや合理化を行い、余剰傾向にある事務職などから人材を集めざるを得ない。しかし、政策的に安価な労働力(外国人労働者)が供給されると、こうした市場原理による賃上げの必要性がなくなってしまう。つまり、日本人目線では、外国人労働者が働く職場では「外国人並の賃金水準」となりうるのだ。

