ワイプ、テロップ、CMまたぎなど、テレビ番組の過剰な演出が話題になっている。社会学者の太田省一さんは「背景には、テレビ番組をめぐる主導権の交代がある。視聴者の感覚とテレビ局の間でずれが生まれている」という――。
リモコンでチャンネルを変えている手元
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テレビ番組に「ワイプ」は必要なのか

思わぬところで、テレビのワイプ(出演者が映る画面の隅の小窓)が批判の的になっている。5月4日に放送されたザ・ドリフターズ(以下、ドリフ)のコント特番で、「ワイプが邪魔」といった“ワイプ不要論”が巻き起こったのだ。いまバラエティ番組などで当たり前になっている演出は適切なのか? この機会に改めて考えてみたい。

ワイプへの批判が起こったのは、「伝説のバラエティ番組『8時だョ!全員集合』がGWの夜に復活!」(TBSテレビ系)というゴールデンタイムの特番。往年の高視聴率番組「8時だョ!全員集合」で放送された名作コントをそのまま流すという内容だった。世代に関係なく笑えるという点では、ドリフの笑いはいまもまったく色あせていない。

ところが、その番組を見ていた視聴者の不満の声がSNSで続々とあがる事態になった。なかでも目立ったのが、ワイプに対するものだ。

ワイプは、スタジオにいる出演者の顔、表情を映すためのもの。出演者が発する「すごい」「おいしそう」といった声も流れる。要するに、出演者のリアクションを見せるための演出である。

「いらんことするな」の声

このドリフ特番でも、ワイプがあった。放送された2時間半のあいだほぼ全編にわたって画面の左上にワイプが出ている状態。時には出演者のリアクションが拡大されて、一瞬画面いっぱいに映し出されることもあった。

これに対し、「ドラマはそのまま再放送するのに、ドリフはおかしな演出を加えて再放送 わざわざ手を加えないとドリフのコントの面白さが伝わらないとでも? それって、ドリフターズに対して非常に失礼じゃないか」「シンプル再放送でいい。あの頃のあの笑いがみたいんや。いらんことすんな」など手厳しい意見がSNSに投稿された(『FLASH』2026年5月7日付記事)。つまり、ワイプは余分であり、不要という声である。

「全員集合」が放送された1969年から1985年までの当時、ワイプはここまで一般的ではなかった。むろん「全員集合」にはない。その点、当時を知る視聴者からすれば、余分なものに感じたとしても不思議はない。