ワイプの役割の変化
ただ、次第に意味合いも変わり、ワイプは大物タレントを見せるためというよりは、これから売れたいというタレントのアピールの場になった。出演者が多ければ、自分のリアクションが必ず使われる保証はない。オンエアでまったく映らなければ、出だしのタレントにとって死活問題だ。
だから、少しでも多く自分のリアクションを使ってもらうため、表情や言葉に工夫をする。かつて「ワイプモンスター」と呼ばれた元モーニング娘。のタレント・矢口真里は、「あえて大きなリアクションをしない」「他の出演者よりも一瞬遅れて反応する」「(口元に手を当てるなど)手を使って感情を表現する」など極意を語っていた。
実は、ドリフ特番についてあがっていた不満がもうひとつある。テロップに対するものである。「テレビを見なくなって25年以上、その大きな理由の1つ『過剰なテロップがウザい』昔の再放送につけるとか地獄やん」(前掲記事)。実際、「ドリフ伝説コント20連発」「製作費1500万円超え【アパートコント】」といった二段組みのカラフルなテロップが、やはり常時画面右上に出ていた。
ここでポイントは、「過剰」という点だろう。
「めちゃイケ」に見るテロップの役割
テロップ、つまり画面上の字幕は必要な場合もある。ニュース番組や情報番組で政治用語や経済用語の意味を説明・補足するテロップは、視聴者の便宜に資するものだ。またその意味でのテロップは昔からあった。
だが現在のテレビで特徴的なのは、バラエティ番組のテロップだ。画面の上下左右に出演者の名や見どころなどのテロップが出っ放しということも珍しくない。大げさではなく、画面の半分くらいがテロップに占められているようなときもある。
では、なぜバラエティ番組でテロップがここまで多くなっているのか? ワイプと同様、こちらも1990年代がひとつの分岐点だったと言える。
典型的だったのは、「めちゃ×2イケてるッ!」(フジテレビ系、1996年放送開始)のテロップだろう。
ここで駆使されたのが、ナインティナインなど出演者の言ったワードをそのまま画面に出すテロップ、つまり「なぞるテロップ」である。この場合のテロップは説明のためではない。テロップを出すタイミング、その際の大げさな効果音、さらに文字のフォントや色合いによって出演者の言葉を強調し、笑いを増幅させるためのものである。
さらには、「!」「?」のような記号のテロップも同様だ。誰かが面白いことや意味不明なことを言ったとき、絶妙のタイミングで効果音とともにこれらの記号を画面に出す。お笑いで言えば、ボケに対するツッコミの役割を果たすわけである。
しかし、いまやこうしたテロップ演出を「過剰」と受け取る視聴者もいることを先ほどあげた投稿は物語っている。

