返答が的外れ、話が平行線、何を言っても響かない……。時に会話が成立しない相手がいる。どうすればすれ違わずに意思疎通ができるのか? 深い対話を得意とする4名がその方法を伝授する――。
タイプ③:自分を攻撃させないため爆発を繰り返す
暴走ヒステリックタイプ

「話しかけたら、いきなり怒鳴られた」「異なる意見を述べたら表情が固まり、それ以来口を利いてもらえなくなった」。そのような体験をしたことはないだろうか。感情的な人に話しかけるのは勇気がいる。気づきにくい地雷を踏んで攻撃されることもあるし、悲しみにくれて話を聞いてくれないこともある。とにかく話が進まないのだ。

人が感情的になるとき、脳はコントロールしにくい状態になっていると西氏は解説する。

「感情的になると扁桃体が発火し、アドレナリンやコルチゾールといったストレスホルモンが分泌されます。その影響で、理性をつかさどる前頭前野の機能が低下すると、論理より感情が優先され、理不尽な言動が出やすくなります。意思の力でどうにかなる状態ではなく、脳の仕組みとしてそうなってしまっているのです」(西氏)

実は脳科学的に感情が爆発しやすいタイミングが、夜間と空腹時だ。前頭前野の機能が落ちて怒りが出やすくなり、神経症傾向が強い人ほどその影響は大きいというデータがある。そのため、夜にクレームやダメ出しのメッセージを送ると、トラブルが大きくなりやすくなる傾向があるという。

「話をするなら、脳が比較的落ち着いている朝や食事中がいいでしょう。同じ食事を分け合うと、オキシトシンという信頼ホルモンが分泌されます。コーヒーの香りには人を穏やかにする作用があるといわれており、カフェでコーヒーを飲みながら話すのも効果的です。また、コンサートや温泉など非日常体験の後は固定観念が崩れやすいため、話が入りやすくなります」(同)

脳が悪くも活発になる「暴走ヒステリックタイプ」。その本質は「怖がりでビビり」と津田氏は看破する。

「怒ることによって、自分が攻撃されないようにしているんです。感情的になるのは、いわば防衛本能の表れ。激しく感情をぶつけてくる人ほど、実は心の中に大きな恐れを抱えています。静かなクレーマーのほうが、よほど手強い」(津田氏)

クレーム対応の極意! 「疲れるまで話をさせる」

このタイプはまず落ち着かせることが最優先事項になる。そこで有効な手法が、最後までしゃべらせることだ。

「しゃべることは息を吐くことでもあり、自律神経が整って相手を落ち着かせる効果があります。NGは話を途中で遮ること。こちらに言いたいことがあっても控えて、疲れるくらいまでしゃべらせたほうがいい。クレーム対応の現場でも、話がうまい人よりしゃべらせるのがうまい人のほうが、はるかに交渉力が高いです」(同)

「法律相談者の中には、感情的になっている人が多くいる」と言うこたけ氏も、感情を吐き出させることを重視する。

(構成=増田忠英 イラストレーション=伊野孝行)