返答が的外れ、話が平行線、何を言っても響かない……。時に会話が成立しない相手がいる。どうすればすれ違わずに意思疎通ができるのか? 深い対話を得意とする4名がその方法を伝授する――。
タイプ②:否定されるほど信念が強固に
自己防衛モンスタータイプ

指摘するだけ逆効果!手強い原因は「4つの要素」

「プロジェクトが失敗したのは、上層部が最初から潰すつもりだったからですよ……」

そう言い張る部下に「考えすぎだよ」と諭すと、「あなたも上の言いなりなんですね」と言い放った――。

この部下のように思い込みが激しく、現実認識に問題があるタイプが存在する。自分に都合のいい情報だけを集める「確証バイアス」や、物事を極端に捉える「白黒思考」にとらわれやすく、陰謀論にもはまりやすい。投げられたボールをただ睨みつけて、捕球する素振りすら見せないことがある。

西氏は、性格特性を判断する「ビッグファイブ理論」から「自己防衛モンスタータイプ」の複雑さを説明する。

「カラープリンターが4色のインクで多様な色を表現するように、人間の性格も『外向性』『神経症傾向』『開放性』『誠実性』『協調性』の5要素の濃淡で決まるという理論です。たとえば、自己チュー無神経タイプだったら、『協調性が低い』というひとつの要素のみ該当するのですが、このタイプは『協調性が低い』『神経症傾向が高い』『誠実性が低い』『開放性が低い』と4つの要素が悪い方向に揃っており、脳科学的には非常に手強い。思い込みが強く、自分の仲間以外は『敵』と見なします。いい面で言えば、視点を提供してあげると解決しやすいという特性もあります」(西氏)

識者に共通する意見は「認知の歪みを直接指摘しても逆効果。かえって相手の思い込みを強め、仲間同士の結束を固めるだけ」というものだ。

「陰謀論を信じている人たちを否定すると、反発が強まり、思い込みがより強固になります。しかも仲間同士でさらに結束を固めることになるので、否定はしてはいけません」(津田氏)

「認知が歪んでしまうのは、自分の心を守るためという気がします。自分が守りたいもの、大事にしているものを攻撃されそうになったときに、現実を都合よく解釈してしまう。認知の歪みを指摘されると、守っているはずのものが攻撃されたと感じる。だから余計に防御的になり、歪みがいっそう強固になるんです」(こたけ氏)

このタイプは、バイアスが軽いほど事実や言葉が届きやすく、重くなるほど直接的な働きかけが通じなくなる。相手のバイアスの度合いを見極め、段階に応じてアプローチを変えていくことが対処の基本になりそうだ。

バイアスが比較的軽い段階では、相手にデータや事実を示すことが有効だとメイ氏は説く。

(構成=増田忠英 イラストレーション=伊野孝行)