やるべき仕事があるのに、つい放置してしまうのはなぜなのか。精神科医の樺沢紫苑氏は「原因は脳の状態にある」という。困った「先送り」への対処法を、7つのタイプに分けて紹介する。

脳の仕組みを理解すれば「すぐやる人」になれる

「やらなきゃいけない」と頭ではわかっているのに、つい後回しにしてしまう――そんな自分を「だらしない」「意志が弱い」と責めていませんか。しかし、物事を先送りしてしまう一番の理由は、本人の性格ではありません。脳のコンディションに原因があります。

樺沢 紫苑(かばさわ・しおん)
樺沢 紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医。札幌医科大学医学部卒。米イリノイ大学に留学し、帰国後、樺沢心理学研究所を設立。『学びを結果に変えるアウトプット大全』などベストセラーを多数執筆。

精神科医として多くの患者さんと接する中で気づいたことがあります。世の中のビジネスパーソンの9割は「お疲れモード」に陥っている、ということです。睡眠不足、運動不足、スマホの過剰使用。こうした悪い習慣が重なることで、脳の前頭前野が慢性的に弱っている。前頭前野は、意欲や集中力、判断力をつかさどる脳の司令塔ですから、ここが弱ると「よし、やるぞ」という意欲が湧いてこなくなります。

それだけではありません。前頭前野の働きが落ちると、不安や恐怖を感じる扁桃体が過剰に興奮しやすくなります。すると、仕事に対して漠然とした恐怖感を覚え、手が止まってしまう。先送りしがちな人の脳内は、やる気の減退と不安の両方に苛まれているのです。

何事も「すぐやる」人になるには、まず脳の疲れを取るしかない。しかし、現代人は脳を疲れさせやすい環境に囲まれています。

特に問題なのは、朝の情報番組とSNSです。起きたばかりの脳は、睡眠中に前日の記憶が整理されるため、午前中は一日の中で最も集中力が高い時間帯です。ところが多くの人は、起床後すぐにスマホを開き、通勤中にSNSをスクロールし、朝の情報番組を流し見する。自分に関係のないニュースや広告が目に入るたびに、脳は「これは必要な情報だろうか」と判断を迫られます。これでは仕事を始める前に脳が疲れてしまいます。

脳が疲れているときに、先送りグセはどのように現れるか。ここからは、先送りグセを7つに分類し、タイプごとの「攻略法」を併せて紹介します。

中には複数のタイプに当てはまる方もいるでしょう。脳疲労という共通の土壌の上に、複数の症状が同時に芽を出しているだけですから、いくつ当てはまっても不思議ではありません。ただし、原因が同じでも、タイプによって有効な攻略法は違います。完璧主義で動けない人に必要な思考の切り替え方と、スマホが手放せない人に必要な物理的な対策では、アプローチがまったく異なります。

生活習慣を整えるという土台の上に、自分のタイプに合った攻略法を重ねていく。この二段構えが、先送りグセを根本から断つための最短ルートです。

あなたはどのタイプに当てはまるか、どの対策なら取り組めそうか、チェックしてみてください。

【TYPE 1】受けた仕事は絶対に失敗したくない
完璧主義型
【図表】完璧主義型

仕事に恐怖を感じて手が止まってしまう

先送りグセを持つタイプの代表例が完璧主義者です。彼らは物事を「成功か失敗か」の二択でしか捉えられない「0-100思考」の持ち主。白か黒か、○か×か。中間がないのが特徴です。

(構成=本誌編集部 イラストレーション=タカセマサヒロ)