意志が弱くても即行動できる方法がある。それは仕組み化だ。3人の実践者が先延ばし癖を解消するためのテクニックを明かす。
時間のデザイン術:1日70の習慣で「迷う時間」をゼロにする

本を1冊読む。4.2kmのジョギングをする。空の写真を撮る……。私が毎日続けている習慣は、細かいものまで合わせると70ほどあります。真面目で勤勉だから続けられるのではありません。もともとは、「やらなきゃ」と思いながらほったらかしにしてしまうような、何もしない人間でした。それが習慣を重ねるうち、いつの間にか勤勉さが身についた気がします。

井上 新八(いのうえ・しんぱち)
井上 新八(いのうえ・しんぱち)
ブックデザイナー、習慣家。1973年、東京都生まれ。和光大学在学中に独学でブックデザイン業を始める。大学卒業後は新聞社で編集者として働き、2001年にフリーランスのブックデザイナーとして独立。年間160冊近くの本をデザインしている。著書に『続ける思考』『時間のデザイン』。

習慣に目覚めたのは、「どうぶつの森」というゲームがきっかけでした。どんなに忙しくても、毎日ゲームをやる20分だけはなんとか生み出していました。そのことに気づいたとき、「時間はどうにか捻出できるし、毎日やると決めれば勝手に続いていく」という事実に思い至ったのです。

それまで私は何日も放置して適当に書くことが多かった日記を、「どうぶつの森」の後に書くことに決めました。それに慣れていくと、今度は日記を書いたら仕事を始めることにしました。さらにジョギング、掃除など習慣を数珠つなぎに増やし、どんどんアクションが自動化していったのです。

毎日同じことを繰り返しているから、マンネリで退屈を感じるかというと、その逆です。毎日やっているからこそ、昨日との違いに気づけるようになります。たとえば、毎朝練習しているダンスで、昨日まで全然できなかった振り付けが急にできるようになる日があります。同じことを続けることで、日常の小さな変化にどんどん敏感になっていく。それが楽しいのです。

また、続けることによって意味がわかることもあります。日記の数行を英語に訳す習慣を始めたときは、これが何の役に立つのか自分でもまったく見えていませんでした。それが続けていくうちに、「英訳しようと思った部分が、毎日詠む短歌のネタになる」と気づくようになったのです。

【図表】機嫌よく過ごすために忙しくても続ける! 井上さんの毎日の習慣(一部)

「週3日やる」と決めた習慣が続かない理由

毎日同じことをやるのが苦手という人に、実践する中で見つけた習慣化のコツをいくつか紹介しましょう。

まず、「毎日やる」。週3回だとやる日とやらない日があるので、大体続きません。毎日やることにすれば、やるかやらないかをいちいち考える必要がなくなります。とにかく毎日取り組むことだけは守る。いい加減でもいいし、時間がない日は筋トレの回数を半分に減らすような「時短モード」でもかまいません。なぜここまで徹底するかというと、自分がサボる人間だと知っているからです。一日でも途絶えると、復帰が難しくなる。だから、「やらない」という選択肢はできるだけ使いません。

次に、「小さくやる」。1日にやる時間は短くても、続ければどんなことでも確実に進みます。クリアするまで100時間以上かかるといわれる大作ゲームも、1日15分ずつやれば1年ほどでクリアできるし、4.2kmのジョギングも10日やればフルマラソンです。このように小さくやることで、やりたいと思っていたことが全部できるようになりました。

一方で、「本を1日1冊読む」と決めて取り組んだときは、最初はきつく感じました。しかし、だんだん慣れていき、この習慣は5年続いています。このようにハードに始めたほうがいい場合もあります。どちらがいいか一概には言えませんが、強いて言えば、クリエーティブな作業は小さく始めるのがいいような気がします。

そして、「いつやるかを決める」。習慣は「何を」「いつ」「どれくらい」やるかを決めるだけです。私の場合、ほとんどの習慣を「朝飯前にやる」と決めており、時間が押してしまって、遅いときは夕方4時頃に朝食を取ることもあります。基本的には、午前中はルーティンの習慣をこなして、午後はフレキシブルに対応する、という時間の使い方をしています。

(構成=増田忠英)