小泉進次郎防衛大臣は5月末にシンガポールで開催されたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で、日本を「新型軍国主義」と繰り返し批判する中国を念頭に反論した。海外メディアは日本に同調する参加国の声を取り上げ、中国に誤算があったと報じている――。
2026年1月12日、米国訪問中に講演を行う小泉進次郎氏
2026年1月12日、米国訪問中に講演を行う小泉進次郎氏(写真=防衛省ウェブサイト/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

「日本は新型軍国主義」と批判した中国

中国外務省は5月12日、アジア太平洋諸国に向け、日本の「新型軍国主義の無謀な行動」に共同で対抗せよ、と呼びかけた。ロイター通信、米CNBCなどが報じた。

日本が戦前に突き進んだ「軍国主義」へ逆戻りしているのではないか、という疑いを込めた強い非難だ。

軍国主義という言葉を耳にすれば、アジア太平洋諸国の多くの政治関係者が、第二次世界大戦期の日本、すなわち軍部が国家の方針を握ったあの時代を想起する。

そこへ「新型」という接頭辞が付いたなら、現代の日本が進める防衛政策までもが、あたかも戦前の暗い系譜を引き継いでいるかのように映るだろう。今日の日本の防衛政策を過去の歴史に重ね合わせ、その正当性を貶めようとする試みとも取れる。

では、そのレッテルは事実に裏打ちされているのか。中国外務省の発言からおよそ2週間後、5月29日〜31日にシンガポールで開催された、第23回アジア安全保障会議(通称シャングリラ会合)の場。各国関係者を前に、日本の小泉進次郎防衛相は、新型軍国主義との主張の誤りを明確に否定した。

各国の参加者からは、日本の姿勢に寄り添う発言が相次いでいる。

指摘を受け流さなかった小泉進次郎防衛相

一連の応酬のきっかけを作ったのは、中国から送られた人民解放軍国防大学の孟祥青少将だった。シャングリラ会合の場で、日本へ鋭く矛先を向けた。

ロイター通信によれば、孟氏は「軍国主義の負の遺産を徹底的に払拭していない国が、国際的な場で防衛協力について多くを語る資格があるのか、そして国際社会の、とりわけかつて自国が侵略したアジア諸国の信頼を勝ち得ることができるのか、私は深く疑う」と述べた。

名指しこそ避けながら、その矛先が日本へ向いていることは、誰の目にも明らかだった。呼びかけの主が不在のまま、こうして批判の矢面に立たされた日本は、どう応じたのか。

受け流す、という選択肢を日本は取らなかった。批判の構図を、逆に問い直してみせたのである。小泉氏が会合の壇上に立ったのは、5月31日。彼は日本に「新たな軍国主義」があるとの非難を真正面から退け、むしろ懸念があるのは中国の側だと切り返した。

小泉氏が突きつけたのは、素朴な一つの問いだった。「考えてみてほしい。核兵器と戦略爆撃機を大量に抱える国がある。日本はそのどちらの兵器も持っていない。それなのに日本が『新たな軍国主義』とレッテルを貼られるのか。おかしくないか」。

中国が日本に貼りたいレッテルは事実とまるでかけ離れていると、そう言い切った形だ。この反駁は、英国際安全保障シンクタンクであり会合の主催組織である国際戦略研究所が公開した講演の記録にもしっかりと記録されている。