「格下の代表団」は見向きもされず…
最も皮肉なのは、アジア太平洋諸国に対し日本で結束を呼びかけた中国自身の閣僚級人物らが、シャングリラ会合を揃って欠席した点であろう。
中国が「新型軍国主義」という主張を真正面からぶつけたいのであれば、まさにうってつけの国際会議の席であった。孟氏よりも理路整然とした、日本にある程度のダメージのある発言すら可能だったかもしれない。
しかし、中国国防相の董軍氏は昨年から2年連続で、シャングリラ会合を欠席している。代わりに中国が送り込んだのが、孟氏を団長とする、軍人・学者からなる代表団だった。CNBCは、「格下の代表団(lower-level delegation)」であると表現している。
シャングリラ会合は、アジア太平洋地域の国防相や安全保障の責任者が一堂に会する、域内最大級の安全保障対話の舞台である。それだけに、どの国が閣僚級の代表を送り込むかは、その国が対話をどれだけ重んじているかを如実に表す。
中国としては主要人物を送り込み、日本批判のトーンを会合で示す機会でもあったが、自ら棒に振った形だ。
独比から名指しで批判された中国
閣僚級人物が参加しなかったことで、中国は日本批判の場を逸したばかりか、諸外国から批判の的となる二重の失態を演じた。不在をめぐり、シャングリラ会合の場では、欧州とアジアの双方から中国を名指しで批判する声が相次いだ。
口火を切ったのは、ドイツ連邦軍総監のカルステン・ブロイアー陸軍大将だった。閣僚級の代表団を送らなかったことについて、対話の機会をみすみす手放していると、米ビジネスニュース専門局のCNBCの取材で批判した。
世界の分断が深まるいまだからこそ、各国は膝を突き合わせて意見を交わすべきだとブロイアー氏は強調し、「兵士として過ごした42年間で、今ほど危険な時代を経験したことはない」と吐露。ブロイアー氏が日本の姿勢を槍玉に挙げることは全くなく、むしろ中国が対話の機会を失っていることこそが危ないと警告した。
フィリピンのギルベルト・テオドロ国防相に至っては、さらに容赦がない。同じ会合の場で、中国の存在価値は「最小限に抑えられている」と一蹴してみせた。中国側は、建設的に議論を交わすためではなく、党の方針を宣伝するためだけに代表団を送り込んでいるにすぎない、というのである。
そのうえでテオドロ氏は、「自分にとっては大きな損失ではない」と言い添えた。中国が対話の場から退いたところで惜しくはない、という突き放した本音がにじむ。

