日本のアニメは海外でどのように見られているのか。エンタメ社会学者の中山淳雄さんは「海外ファンにとってファンタジー、異世界転生、学園モノは、受け入れられている。歴史を扱った作品はリテラシーを要するため反応は悪かったが、最近変化が起きている」という――。
魔女の帽子
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今期、最も海外人気が高かったのは「魔女アニメ」

世界中にいるアニメファン約2000万人が集う「My Anime List」(以下、MAL)は、アニメ好きのためのWikipediaのような存在だ。

3カ月ごとに60~70本放送される新作アニメのページが新設され、Members(アニメをリストインしている人)、Score(アニメ評価)、Popularity(Members数の歴代ランキング)、Ranked(Scoreの歴代ランキング)の4つがトップに表示される。当然海外のアニメファンのためのサイトであり、すべて英語。

ここはエンタメを研究する私のような立場の人間にとって宝の山だ。6~7割が10~20代の若者世代、5~6割が欧米ユーザー、あとはアジア・南米などで日本人はほんの1%未満、という純粋な「日本人以外のアニメファン」サイトだ。

ネットフリックスや海外における最大級のアニメ配信サイト・クランチロールによって世界中に配信されたアニメをどう受け止めているかのリアリティが、ここにある。

2026年4~6月において、Membersが最も多かったのは『とんがり帽子のアトリエ』だ。

魔法に憧れる少女ココが、ある日「魔法は描いて発動させるもの」という秘密を知り、自ら招いた悲劇から母を石化させてしまう。母を救うため、魔法使いキーフリーの弟子となり、一人前を目指す正統派ファンタジーである。

「大ヒット」を確信する座組ではなかったが

講談社『月刊モーニングtwo』で2016年9月号から連載を開始。アニメ・映画制作会社のOLM(オー・エル・エム)子会社BUG FILMSがアニメ化するということで、決して「大ヒットの予感」を感じさせる座組ではなかった。

だがその評判は口コミで広がり、マンガ発行部数は、100万部(2018/9)→200万部(2020/4)ときて、アニメ化発表後に350万部(2022/4)だった。そこからの躍進が凄まじく、1期配信前の750万部(2026/2)から配信後900万部(2026/6)に到達した。この数字をみるに、アニメ化によっていかに多くの耳目を惹きつけたかを示している。

Members38万人、評価のScore8.6は『ダンダダン』や『ワンパンマン』と伍するトップクラスの結果であり、「『フリーレン』を凌駕する作品。まるで『星の王子さま』の世界」といった欧米ユーザーのコメントは本作への高い期待値を示している。

「アニメの映像は息を呑むほど美しい」、「美しい絵柄、奇想天外な世界観、そして複雑な倫理的問題を巧みに描き出す魅力的なストーリー」など、原作の魅力を引き出したアニメ化そのものに高い評価も集まっている。「(『古見さんはコミュ症です』や『サマータイムレンダ』を手掛ける)OLMの作品の中でも特に映像美に優れた作品」というように、OLMのアニメスタジオとしての評価を一段上げる結果にもなった。