男性ばかりが働く場所だった魚市場に、女性が増えつつある。なかでも注目を集めているのが、築地場外で巨大マグロの解体を行う「ツナプリンセス」こと高橋李奈さんだ。前職はデザイナーと、魚とは無縁だった高橋さんはなぜこの世界に飛び込んだのか。時事通信社水産部の川本大吾部長が聞いた――。
築地場外市場で働くツナプリンセス
各地の漁港や東京・豊洲の魚市場で、このところ女性の活躍が目立つようになってきた。決して女人禁制ではなかったが、魚市場は漁業と並んで男職場となっており、かつて移転前の築地市場(中央区)では、卸会社で競りや相対取引によって魚を卸す女性はほとんどいなかった。
ところが豊洲市場への移転以降、新しくきれいな施設であることに加え、ジェンダーレス意識の浸透もあって、生鮮魚介類を仲卸業者やスーパーなどに販売する営業職の女性が今では十数人、早朝から勤務するようになっている。さらに卸会社から魚を買い取る仲卸業者でも、女性の働き手が増えている。
そして同市場の仲卸業者「キタニ水産」では、ひとりの女性社員が今、注目を集めている。旧築地市場に隣接する築地場外市場にある「築地魚河岸」の店舗で、豊洲直送の大型本マグロを華麗にさばく、高橋李奈さん(32)だ。
90センチのマグロ包丁を使って、希少部位を含め、一心不乱に部位ごとに切り分け、寿司店など業務向けや一般消費者に対し販売する姿がSNSで話題に。その様子を収めたYouTubeは再生回数170万回を突破しており、インバウンドの間でも注目の的となっている。ついたニックネームが「ツナプリンセス」だ。

