今年最高のアニメのひとつ

他にも、MALでは映像美としての評価も高い。「最初に私の目を引いたのは、作画でした。型破りでありながら美しいスタイルは、通常の季節アニメとは一線を画し、『歴史的』な雰囲気に完璧にマッチしています」

「制作クオリティがとんでもなく高いんです。本当に、とんでもなく高い。予算を節約するための手抜きがほとんど見当たらないんです」

江戸・明治という時代を彷彿とさせるため、あえてカラー色を廃した白黒トーンのアニメ映像は世界観とうまくフィットしていた。

本作の真骨頂は孫子の兵法を朗々とそらんじ、軍略・知略を歌舞伎の“見得”のように場面・場面でキメにいく口上のシーンだろう。

「キャラクター化」という意味では十分に成功といえる。「知的で魅力的なプロット、興味深く愛憎入り混じるキャラクター、緊迫感のあるシーン、美しいアニメーションと演出、そして素敵なユニークなサウンドトラックが一体となって、今年最高のアニメのひとつ」という評価に私も完全同意である。

ファンタジー、異世界転生、学園モノ

今クールはいつものような王道アクションものが少なく、穏やかなテーマが上位10を占めていたように思う。逆に王道ものでいうと5位『黄泉のツガイ』が2期目以降も楽しみになる作品だ。

『鋼の錬金術師』『銀の匙 Silver Spoon』と海外人気の高い作品を20年ほど連載し続けた荒川弘氏が2021年から『月刊ガンガン』に連載してきたマンガの期待の初アニメ化でもある。ラノベ大御所3大作品があったため、順位は上がりきらなかったが、高Members、高Score作品である。

ここまでみてきたように、2010年代にアニメから入った海外ファンにとってはファンタジー、異世界転生、学園・人間関係モノが「日本的なもの」としてすんなり受け入れやすい。

逆に『あかね噺』のような本当に日本歴史的なものになると、リテラシーを要するために、欧米ファンの多いMALではニッチに留まる傾向があった。だが『日本三國』の例でみるように、少しずつそういったテーマにもフォーカスをあてたい(主に)米国のインフルエンサー型のファンも増えてきている。

アニメを使って「これは日本的なもの」といえるようなテーマ・ジャンルを増やしていくことが、アニメ作品全体に求められていることでもあるだろう。

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