フジテレビのドラマ「夫婦別姓刑事」における佐藤二朗氏のパワハラ疑惑は決着がついていない。元テレビ局員の影山貴彦さんは「中居正広氏の事件発覚から1年、フジは変わろうとしているが、根本的な体質を変えられていないことを露呈した」という――。

誰よりもフジの責任が大きい

佐藤二朗さんと橋本愛さんを巡る一連の騒動について、私は「週刊文春」がこのニュースを報じた、かなり早い段階から「何よりもフジテレビの責任が大きい」と指摘してきました。当初、メディアの論調は「フジテレビにも多少の責任はある」という程度のものが目立ちましたが、フジテレビが2回目のコメント「当社ドラマ制作に関するご説明」を発表した現在、潮目が変わってきたように感じます。

フジテレビのリリース
フジテレビ公式サイトより
フジテレビのリリース「当社ドラマ制作に関するご説明」、2026年7月7日

今回の件がハラスメントに該当するのか、当事者であるお二人のどちらの主張が正しいのか、現段階で断じるつもりは一切ありません。佐藤さん側と橋本さん側の主張は食い違っており、ネット上ではすでに「どちらが悪い」の断罪合戦が過熱していますが、詳細はこれから分かってくるでしょう。そこで、当事者への判断は保留した上でなお、フジテレビの責任は動かない、と私は考えています。

なぜか。これはフジテレビが制作するドラマの、フジテレビが管轄する撮影現場や楽屋の界隈で起きた出来事だからです。2025年に発覚した中居正広さんの問題では、事件が起きたのが自宅であり、「業務中と言えるのかどうか」という論点がありましたが、今回はまぎれもなく制作現場そのもの。まず問われるべきは当該局の管理責任です。しかも、前回、社長が交代するほどの問題を起こした局が、またこういうことになった。元テレビ局員としては、正直、信じられないという思いがありました。

フジテレビ本社
撮影=石塚雅人
フジテレビ本社

どこかひとごとだった初期対応

フジテレビの初期対応を振り返ると、コンプライアンス(法令遵守)の手続き自体は踏んでいるのです。外部の弁護士を入れて調査し、ハラスメントと評価し、佐藤さん側に厳重注意をした。中居さんの件の教訓を踏まえた、いわば教科書通りの対応です。

しかし、「週刊文春」の報道が出て、バタバタと慌てて出した最初のコメントがよくなかった。私が最大の誤りだと思うのは、まず「お詫び」から入らなかったことです。自社ドラマの話であるにもかかわらず、文春と“男性俳優”を非難するという、第三者のような物言いが目立ちました。自分たちの現場でこういう事態を招いてしまった、まずそれを詫びる。そこから始めるべきだったのです。