「途中降板」というカードはあった
佐藤さんが橋本さんの楽屋に行ったことが問題視されましたが、佐藤さんに注意するだけでなく、佐藤さんの話を聞いて、その気持ちも汲んで、撮影が続けられるようにする。そこがまさに制作現場の腕の見せどころだったはずです。フジテレビには優秀な人材がたくさんいます。何とかしたいと思っていた人も、実際に調整に動いていた人もいたでしょう。しかしトータルとして無力だった。ここは組織として反省しなければならない点です。
今回、佐藤さんは撮影中に降板を申し出たとXで明かし、局側はドラマの中止も検討したと発表しています。それが事実であるならば、私は降板させるべきだったと思います。
前例がないわけではありません。古くは山口百恵さん主演の人気ドラマ「赤い疑惑」で母親役の八千草薫さんが降板した例もありますし、朝ドラ「春よ、来い」ではヒロインの安田成美さんが途中で中田喜子さんに代わりました。今回、佐藤さんは主役ですから、事実上、ドラマが途中で打ち切りということになったかもしれませんが、それでもいい。発表する際は、「プライバシーに関わる詳細は申し上げられません」「ご本人の意向を尊重し、降板されることになりました」と堂々と発表していれば、視聴者の受け止めは今とはずいぶん違ったはずです。結果論にはなりますが……。
キャスティングから間違えていた?
ところがフジテレビは、トラブルを抱えたまま最終の11話まで走り切りました。中居さんの問題でもそうでしたが、何か起きたとき、同局には「できるだけ事を小さく収めたい」と考える傾向があるようです。小さく収めようとした結果、かえって問題を長引かせ、大きくしてしまう。番組表を組む編成も経験した人間として言えば、途中で区切りをつける、せめて多くのドラマが最終回とする10話で終わらせる対応は十分に可能でした。決断すべき局面で決断しなかった。ここにもフジテレビの責任があります。
キャスティングについても言及すると、「夫婦別姓刑事」というタイトルとコンセプトの番組なら、本来は最初から「夫婦のセット」で、つまり主演2人のハーモニーを軸に配役を考えるべきでした。ところが、佐藤さんの事務所によると、佐藤さんの出演が決まった後しばらくして橋本さんが妻役になった。佐藤二朗という旬の俳優にGP帯連ドラ初主演をしてもらいたいという思いが先にあり、相手役が後から組み合わされていったように見える。夫婦役の経験があるコンビを起用するなど、より安全な選択肢もあったはずです。
タイトルとコンセプトが決まれば、ドラマ制作部のキャスティングにものを言い、最終的なGOを出すのは編成です。最終決定権がある以上、編成にも責任はある。今となっては、このキャスティングは失敗だったと言わざるを得ません。
