※本稿は、和田秀樹『老人は「キレる」くらいでちょうどいい』(集英社インターナショナル)の一部を再編集したものです。
前頭葉活性化には「アウトプット」も重要
さまざまな形で新しい情報を脳にインプットするのは、前頭葉の活性化につながります。一方、前頭葉は私たちが情報を「アウトプット」する上でも重要な役割を担っていると考えられています。だとすれば、インプットだけでは前頭葉を鍛えることができません。
「物忘れ」はいちばんわかりやすい老化現象ですが、もうひとつ、「同じ話を繰り返す」のも年老いた人がしばしば見せる典型的なパターンです。さっき話したばかりのことを忘れているという意味では「物忘れ」の一端ともいえるでしょう。
しかし前頭葉の萎縮によってアウトプット機能が衰えていることも、何度も同じ話をしてしまう理由のひとつ。逆にいえば、アウトプットの機会が減ると前頭葉が老化しやすいということになります。
仕事を辞めるとアウトプット機能衰退
また定年退職後の話になりますが、会社に行かなくなると、一気にアウトプットの機会が減る人も多いのではないでしょうか。
会社に勤めているあいだは、毎日のように取引先や同僚などに自分の考えていることを伝えなければいけません。会議でも発言を求められます。報告書のような書類やメールなど、文章を書くことも多いはずです。
ところが定年退職すると、そもそも人づきあいが急に減ります。家で奥さんと話す内容も、決まりきったルーティンな会話ばかり。「この相手に、いま何を話すべきか」「これをうまく伝えるにはメールにどう書けばいいだろう」など、頭を使って情報をアウトプットすることが少なくなります。
そんな日々が長く続けば、前頭葉がどんどん萎縮したとしても不思議ではありません。ですから、前頭葉に新しい情報をインプットして刺激するだけでなく、自ら外に向かって積極的に情報発信することを心がけるのが大事です。

