義実家に行くのは「役目」と割り切る
お盆の帰省シーズン直前になると、私のもとには「義理の実家に行くのが憂鬱だ」というご相談が少なからず寄せられます。そうした方には、「無理はしないほうがいいですよね」とお伝えした上で、それでも、どうしても行かなければならない、という方には、「それであれば、これはお役目だと思って割り切ってみましょうか」とお伝えしています。
少し乱暴に聞こえるかもしれませんが、イメージとしては、ドラマのワンシーンを楽しむような感覚で、「義実家に行くのが大好きな『いいお嫁さん』『いいお婿さん』になりきること」。いつもと違う自分を演じてみる感覚で。そう考えると、憂うつだった時間が少し軽くなるものです。
せっかくの時間です。ぜひ「愉しもう!」と言う気持ちでまいりましょう。
そもそもマナーとは、相手の立場に立ち、相手が喜ぶことを先回りして行うことです。義理のご両親やパートナーが喜んでくださる。それだけで、マナーとしては十分に価値のある行いです。その心遣いは、たとえご本人たちから直接返ってこなくても、必ずどこか別のところからご褒美となって戻ってきます。お互いが気持ちよくなる「ウィンウィン」を生み出すこと。これこそがマナーの本質なのです。
ただし、決して無理はしないでくださいね。行くことで体調を崩したり、精神的に追い詰められてしまっては本末転倒です。相手の立場に立つといったとき、その「相手」には自分自身も含まれています。自分をいたわる気持ちも忘れずにご自身のことも大切になってください。
ここが最も大事な点ですが、義実家との関係で本当に問われているのは、実はパートナーとの関係性です。パートナーが自分の実家にきちんと事情を伝えてくれていれば、一年帰省しなかったくらいで関係がこじれることはまずありません。義実家の問題の根っこは、突き詰めれば夫婦関係にあります。日頃から良い関係を築いておくことが、遠回りのようでいて一番の近道なのです。
帰省にエプロンを持っていくべき理由
では、実際に帰省したときにどう振る舞えば「感じがいい」と思っていただけるのか。まず準備の段階でおすすめしたいのが、エプロンを一枚持っていくことです。
これは「お客様として伺うのではなく、何か自分にできるお手伝いをしたい」という気持ちの表れです。マナーとは、思いやりの心を形にして表現するもの。その心を目に見える形にしたのが、エプロンなのです。
とはいえ、着けるかどうかは相手次第です。「お義母さん、何かお手伝いすることはありますか」とひと声かけて、「じゃあお皿を洗って」と言われたら、そこで持参したエプロンを取り出せばいい。逆に「これを着てね」と用意してくださったら、「ありがとうございます」と素直にそちらをお借りすればいいのです。準備はしておくけれど、押しつけない。この加減が大切です。
夫が妻の実家に帰省する場合も、心遣いの本質は変わりません。エプロンとまではいかずとも、電球の交換や家具の移動、荷物の整理といった力仕事をさっと引き受けられる、動きやすい服装で伺いましょう。さらに大切なのが「話題」です。妻から事前にご両親の近況を聞いておき、「お義父さん、園芸を始められたそうですね」と夫のほうから話しかける。それだけでご両親はとても喜んでくださいます。
そして、明るい表情と丁寧な挨拶。これは基本ですが、ひとつ工夫を加えたいのが、パートナーを立てるひと言です。夫の実家であれば、「いつも○○さんに本当によくしていただいて、ありがとうございます」と、息子である夫のことをご両親にお礼として伝えるのです。ご両親は、いくつになってもわが子を褒められると嬉しいもの。
すると相手は謙遜して「いやいや、うちの息子なんて」とおっしゃるかもしれません。そこですかさず「そんなことありません。お義父様お義母様のおかげで本当に優しい人で、私は幸せです」と返す。それだけで、ご両親はどれほど安心なさることでしょう。パートナー本人も、決して悪い気はしないはずです。


