世界の人は日本という国をどのように評価しているのか。ICU教授のスティーブン・R・ナギさん(政治学・国際関係学)は「中国に対して世界の投資家の間で慎重論が広がっているのと対照的に、安定と品質という日本の“地味な強み”が、いま巨額の資金を静かに引き寄せている」という――。

バフェットが資金を向ける日本企業の名前

世界で最も有名な投資家、ウォーレン・バフェット氏がお金を動かすとき、世界中がその動きを注視します。そして近年、彼が資金を向け続けているのが日本です。

彼が2025年末まで率いた米投資会社バークシャー・ハサウェイ(2026年1月1日からは新CEOが就任)は、日本の5大商社(三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、住友商事、丸紅)の株を買い増し続け、朝日新聞の報道によれば2025年3月には各社の保有比率が軒並み9%を超えました。さらに2026年3月には、損害保険大手の東京海上ホールディングスへ約2874億円を出資し、野村證券の解説によれば発行済株式の2.49%を取得しています。

2015年のSelectUSA投資サミットでのウォーレン・バフェット
2015年のSelectUSA投資サミットでのウォーレン・バフェット(写真=USA International Trade Administration/PD US Government/Wikimedia Commons

この5大商社は、言わずと知れた日本を代表する名門商社ですが、それぞれに異なった個性があります。三菱商事は資源から食品まで幅広く手がける総合力が強みで、伊藤忠は繊維・食品など生活消費分野に強く、非資源分野で高い収益を上げてきました。三井物産は鉄鉱石やエネルギーなど資源に厚く、住友商事は金属や不動産に強みを持ち、丸紅は穀物などの食料と電力で存在感を放ちます。つまりバフェット氏は、性格の異なる5社をまとめて買うことで、日本経済そのものに幅広く賭けているとも言えるのです。

興味深いのは、同じ時期にバフェット氏がアップルなど米国株をむしろ売っていたことです。96歳のこの投資家は、派手さではなく「堅実で信頼できる会社を長く持つ」ことで知られます。その彼が、なぜ日本を選ぶのか。この一つの判断の裏には、いま世界で静かに進む「大いなる再均衡」という大きな物語があります。世界のお金が日本を「再発見」する一方で、中国を「再考」し始めているのです。

スウェット記事にプリントされた日章旗と五星紅旗
写真=iStock.com/estherpoon
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難しく考える必要はありません。あなたが小さなお店を開く場所を選ぶ場面を想像してください。誰もが2つのことを望むはずです。1つは、ルールが突然変わらない街であること。もう1つは、信頼できる隣人がいること。世界の投資家がいま迫られているのは、まさにこの選択なのです。