※本稿は、清水忍『一流を支えるトレーナーの 最強の教え方』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
「話の進め方」で相手の理解度は変わる
相手に理解してもらうためには、実際にどうやって話すかが重要になってきます。それが、「話の進め方」あるいは「話し方」という部分です。
これ次第で、相手の理解にはとても大きな差が生じてきます。話の進め方と話し方を考える上で注意すべき点は、次の5つの項目です。
①相手の予備知識を確認する
②相手の状況や理解度に応じた話をする
③副詞と形容詞を多用しない
④自分の声の大きさ、テンポ、速さ、聞き取りやすさに気をつける
⑤自分の言い間違いの確認と言い換え
では、それぞれの項目をくわしく見てみましょう。
【①相手の予備知識を確認する】
話す側にとって「当然わかるだろう」と思って省いた情報ほど、聞く側にとっては重要なことかもしれません。たとえば、私がいきなり「先日、授業中に居眠りしている人がいて……」と切り出せば、知人であれば私が「講師」として講義をしている場面だと想像するでしょう。
遠慮して質問できない可能性を疑う
しかし、もし私が講義を受ける「学生」の立場として、隣の席で居眠りしている人の話をしていたのだとしたら、聞いている途中で「あれ、おかしいな」と混乱が生じます。このとき、「私は学生として学校に通っているのですが」と最初に一言添えるだけで、この間違いは防げるのです。重要な情報をどれだけ事前に提供しておくかは、相手の混乱を避けるために必要なのです。
相手がどれくらいの知識を持っているかで話の内容や進め方を変える必要がありますが、特に注意が必要なのが専門用語です。聞く側は、知らない言葉を言われても話を遮ってまで「それはどういう意味ですか?」とはなかなか言えないものです。ある新人プロ野球の投手が、専門家から投球分析の結果を聞いていたときのことです。
「あなたの球は縦変化の成分よりも横変化の成分が大きいです。どうしてもこの腕の角度で投げるとマグヌス効果が縦方向に得にくいので、変化球の主体は横スライダー系で……」
選手の顔をチラチラ見ると、明らかに理解できていません。そこで私は専門家の説明を遮り、選手に聞きました。

