※本稿は、松本昌平『コンサルたちの憂鬱 転職無限ループ脱出マニュアル』(BOW BOOKS/中央経済社)の一部を再編集したものです。
昔は日本の終身雇用企業が人気だった
就職氷河期の私は、就活がうまくいかず、2003年に大学を卒業した後、リベンジマッチをするために大学院に進み、2005年に修了した。つまり、就職氷河期の末期に二度も就職活動をしたわけだが、あの頃、いわゆる外銀・外コン、つまり、外資系の投資銀行やコンサルティングファームへの就職は、もちろん難関だったが、それにしてもごく一部の、いまで言う「意識高い系」が目指す就職先だった。
大学院の研究室の頭も良いし要領も良いし研究もできるし、とにかくできるオーラがぷんぷん出ている同期たちが、ローランド・ベルガー(※1)、UBS(※2)に進むことになったが、文系の学部から理系の大学院に流れてきて、総務省に入ろうとしていた私は、なんだか不思議な人種がいるなと思って眺めていた。
正直言って、あの頃の私は、外銀と外コンの違いもわかっていなかったし、後に中途で入社することになるBCG(※3)から送られてきたパンフレットを「予防接種みたいな名前の会社だな」とロクに見ずにゴミ箱に突っ込んでいたほどだった。要するに当時のコンサルは「知る人ぞ知る」就職先で、東大・京大のようなトップ大学であろうとも、主要な就職先は、いわゆるJTC(Japanese Traditional Company:日本的終身雇用の会社)だった。
※1 欧州発祥のグローバル経営コンサルティングファーム。
※2 ユニバーサル・バンク・スイス。チューリッヒに本拠地を置く世界最大級のグローバル金融機関。
※3 ボストン コンサルティング グループ。グローバルな戦略コンサルティングファーム。
今の就活人気ランキング上位はコンサル
ところが、時代が下った2026年、東大・京大の就職人気ランキングは図表1のようになっている。最近になってコンサル人気に陰りが見えるとの声も聞くが、それでも上位10社中なんと7社がコンサルである。
バブル期の就職人気ランキングで銀行をはじめとした金融機関が埋め尽くしていた記憶が残る私には、金融がわずか1社しか入っていない現状を踏まえると、むしろこの表はこれからのコンサルの凋落を示唆しているのではと感じられてならないのだが、いずれにせよ、いまはこういうご時世である。
特に重要なのは、いまの大学生たちが新卒プレミアムをコンサルに捧げているという事実である。従来、コンサルは転職前提で行く場所であり、中途で入るほうが一般的だった。対して、JTCは、中途入社が一般化しているとはいえ、いまだに新卒偏重から抜けきれておらず、上に上がるのも基本的には新卒で採用された人間だ。だとすれば、新卒プレミアムは効果が最大化できるJTCに使い、状況によってコンサルなどへの転職を考えたほうがよいのでは? と思ったりもするのだが、いまの大学生は潔くコンサルに進む。そして、コンサルは新卒だけでなく、トップJTCからも中途で人を集めまくっている。


