「どこにでも転職できる」は半面の真実
コンサルタントになる優秀でタフな若者も所詮は普通の人間なのだ。普通の人間に異常な仕事をやらせようと思えば、異常な圧力をかけないといけない。
そして、そのような圧力に耐えられない人間や嫌気がさした人間が辞めていく。さらに言えば、使えない人間を合法的に追い出す仕組みが必要だ。それが、アップ・オア・アウトなのだ。
そして、辞めていった人の分だけ新しい人間を入れる必要がある。そのために、コンサルは給料を高くし、頭の良いエリートが行く場所だというブランドをつくり上げ、コンサルでスキルを身につければどこにでも転職できると、半ば事実/半ばプロパガンダを流布し、それを信じて新たな求職者が現れる。
そのために、コンサルは採用に滅茶苦茶お金をかけるし、レピュテーションをものすごく気にする。要するにブランド商売なのである。
モラトリアム期間を過ごすにはいい仕事
散々コンサルの悪口を言ったのだが、もちろん、コンサルにも良いところがある。
前述の給料の高さやブランド力もそうだが、私はコンサルという仕事の最大の魅力は、組織に依存せずに自分の力で生きていける点にあると考えている。会社に属してコンサルタントをするにせよ、独立するにせよ、コンサルスキルは人材市場から評価されやすく、独力でも稼ぐことができる。
そして、仮に会社に属するにせよ、働き方の自由度が高く、組織に縛られすぎずに働くことができる。私はいま、二足の草鞋で芸人をやっているが、40歳を過ぎた家庭持ちがこんなことをやれるのも、コンサルタントだからである。
では、コンサルが一生やれる仕事かというと、一握りのパートナーに昇り詰める人間を別にすれば、コンサルは若いうちにしかできない仕事である。前述の通り、コンサルはいろんな意味できつい、無理のかかる仕事である。また、生活時間が滅茶苦茶になるので家庭を持って長く続けることが難しい。そもそも、老眼になってから細かいコンサルのスライドなんか書きたくない。その意味でコンサルは、昔の大学がそうであったように、いわゆるモラトリアム期間を過ごすのに適した仕事である。
