フランスは「25時」開始と連絡してきた
高市早苗首相が10月2日夜のG7首脳オンライン会議に欠席した問題が、1か月を過ぎても収拾せず、なお騒動が続いている。高市首相の欠席理由の説明が国会で追及されるたびに二転三転し、虚偽答弁の疑いも出ているだけでなく、首相の外交に対する姿勢や当事者意識、危機管理能力が問われているためだ。
今回は、茂木敏充外相が代理出席することもなく、G7の実務を担うシェルパの遠藤和也外務審議官が出張中のワシントンから出席していた。どんな事情があったのか。
首相に近い政府筋が明かしたところによると、欠席につながったのは、首相とその周辺の意思疎通の欠如だという。G7議長国のフランスは10月2日に当初は「25時」(3日午前1時)開始と連絡してきた。マクロン仏大統領がトランプ米大統領と2人で決めてセットしたとされる。欧米にとって時差を考えると都合がいい時間なのだろう。
首相官邸や外務省内は、首相に出席を要請するどころか、すぐに「25時では首相に出席してくださいと言えない」という空気になったという。オンラインによる国際会議は資料の読み込みや化粧など事前準備が大変なところに、睡眠時間を削って仕事をしているとアピールしている首相が「何で25時なの?」と目をむくことは容易に想像されたからだ。
同筋にも「言ってくれませんか」とお鉢が回ってきたが、スルーしたという。説得役を押し付け合っているうちに時間が経過していく。
この間、外務省が遠藤外務審議官の代理出席を提案し、それに首相周辺が飛びつき、首相に「出席する必要はない」と報告し、了承された、というのが内実ではないか。
2日夕にはフランスから開始を21時30分に早めるよう調整しているとの連絡があったが、首相欠席の方針は変わらなかった。
「バーナム英首相は欠席・代理出席」
政府筋が明かした「事実」を補助線に、高市首相や茂木外相らのこれまでの説明を辿ってみる。
G7首脳会議を欠席したことについて、首相は10月5日、自身のXに「ディーゼル価格の高騰が国際的な課題となっている中、特に『欧米等のディーゼル価格などへの対応』について焦点を当てた議論が行われた」と投稿した。日本の出席は必要なかったと言いたかったのだろうか。
そのうえで「議長国のフランスが当日直前に急遽設定したもので、代理出席が認められていた。バーナム英首相は欠席・代理出席となり、コスタ欧州理事会議長も欠席されたと聞いている」ともつづった。
ほかにも欠席者がいると言い訳したのだが、バーナム首相は父親の葬儀のために欠席したもので、ミリバンド外相が代理出席していた。日本は同列に扱われないだろう。
首相動静などによると、首相は、10月2日18時30分から19時54分まで、首相公邸で自民党の麻生太郎副総裁、鈴木俊一幹事長、萩生田光一幹事長代行、松山政司参院議員会長、村井英樹国会対策委員長らと会食し、5日召集の臨時国会を前に党の結束を確認していた。木原稔官房長官、尾﨑正直、中西祐介両官房副長官も同席している。
その後の動静記録はない。首相公邸にいたのだから、21時30分からのG7首脳会議にオンラインで参加できたのではないか、との疑問が浮かんで当然だ。


