料理はレシピ通りに作っても失敗することがある。プロはどのようなことに気をつけているのか。NHKの料理番組などに出演しているオーナーシェフの谷昇さんは「卵料理の失敗は、理屈で説明できる。部位によって固まる温度が異なり、熱の入れ方次第で仕上がりが変わってくる。失敗を防ぐには、いくつかポイントがある」という――。

※本稿は、谷昇『レシピ通りに作っても なぜ、おいしくならない?』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

卵を茹でている鍋
写真=iStock.com/soniabonet
※写真はイメージです

殻をうまくむくなら、ゆで上がった瞬間に「氷水」へ

【ゆで卵の失敗】

殻がうまくむけない
→ゆで上がったらすぐに氷水で急冷し、白身をキュッと収縮させる

ゆで卵の殻がうまくむけず、白身がボロボロになってしまう。あるいは薄皮がくっついて離れない。これらは、卵の温度による変化を理解すれば、防ぐことができます。

調理の入り口で最も大切なのは、卵を必ず「常温」に戻しておくことです。冷蔵庫から出したての冷たい卵を熱湯に入れれば、急激な膨張に殻が耐えきれず割れてしまいます。

ゆで卵の白身に薄皮がくっついてしまわないために、私の妻はゆでる前に卵の丸いほうに、針で小さな穴を開けています。あらかじめガスを抜いておけば、加熱中に膨張するガスが逃げ、白身が殻に強く押しつけられるのを防げるからです。

ですが、私は別のアプローチをとります。

それは、ゆで上がった瞬間に間髪入れず「氷水」に取ることです。急激に冷やすことで、熱を持った白身がキュッと収縮し、殻との間に隙間が生まれるのです。

氷水の中に入った卵
写真=iStock.com/JannHuizenga
ゆで上がった瞬間に「氷水」へ。急激に冷やすと殻が向きやすくなるという(※写真はイメージです)

水の中でむくと、白身が傷つかない

白身がボロボロになる
→殻を全体に細かく叩き、水の中で「水様卵白」を洗い流す

仕上げのむき方にも、確実なコツがあります。

私は冷えた卵の殻を、テーブルなどでコンコンと叩き、全体に細かくひびを入れます。そして、水の中でむいていくのです。

ゆで上がった卵の殻の内側には、熱で完全にきれいな身になりきれなかった「水様卵白」が、薄い膜やカスのようになって白身の表面にまとわりついています。これが接着剤のような役割をして、むきにくさを生むのです。

水の中でむくことで、細かなひび割れから水が入り込み、この不要な水様卵白を一緒に洗い流してくれます。

いわば、水が「掃除」の役割を果たしてくれるわけです。このひと手間こそが、身を傷つけることなく、表面を滑らかに保つための一番の近道となります。