専門用語は言い換え・補足をすると親切
「ちょっとすみません、ねえ、マグヌス効果って何だかわかる?」すると「……わかりません」という回答。
もしこのまま話を聞き続けていたら、専門家の言っていることの半分も理解できないまま、お互いに「伝えたつもり・聞いたつもり」の悲しい時間を過ごすことになったでしょう。指導者は発言する際にはこの部分の注意が必要です。
相手の理解度を確認しながら、できるだけ相手の理解できる言葉を使い、専門用語が出てしまったと気づいたなら、即座に一般的な言葉に言い換えるか、あるいはその意味を説明すべきです。
【②相手の状況や理解度に応じた話をする】
質問に答える際も、相手の知識不足をこちらが補う必要があります。以前、電話でこんなやり取りがありました。「足を伸ばしたらピキッてきたんですけど、どうやって伸ばしたらいいですか?」これでは何を答えてよいかわかりません。そこで私はいくつか確認の質問を重ねました。
相手自身も問題点を把握していないと…
質問:「足っていうのは足首のことですか?」
回答:「いいえ、膝です」
質問:「痛いのは膝のどの辺ですか?」
回答:「膝小僧の内側です」
質問:「膝小僧の内側とは、どのあたりのことを言っていますか?」
回答:「膝の皿の奥の方です」
質問:「表面ではなく関節の中ということですか?」
回答:「はい、そうです」
質問:「足を伸ばしたっていうのは、実際には何をしたのでしょうか?」
回答:「ダンスでハイキックをしました」
質問:「ハイキックをしたときに膝の奥の方からピキッという音がしたということですか?」
回答:「はい、そうです」
質問:「今、この瞬間も痛いですか?」
回答:「普通にしていれば痛くないですが、ダンスすると痛いです」
質問:「対応として何かやっていますか?」
回答:「膝を伸ばしてます」
質問:「膝を伸ばすというのは、どんな動作ですか?」
回答:「前屈をやってます」
みなさんもお気づきになりましたでしょうか、本人が最初にした質問からは「足首をひねったので何か良いストレッチを教えてください」という内容にも受け取れますが、実際はかなり違いました。
ここまで質問をして整理して初めて、「勢いよく膝を伸ばしたことで痛みが発生したが、現在は間違った対処をしている」という実態が判明し、ようやく適切なアドバイスができました。相手は「知識不足のために質問が不十分であること」すらわかっていないのです。

