不動産会社が「家を売る」だけではなく、「老後の暮らし」を売り始めている。『なぜ働いても家を買えないのか』(日本経済新聞出版)を上梓した日本経済新聞記者の外山尚之さんは「人口減少によって住宅市場の成長が見込みにくくなるなか、高齢者の生活全体を取り込むビジネスへの転換が進んでいる」という――。(第2回)
車椅子に乗る年配の女性と介護者
写真=iStock.com/itakayuki
※写真はイメージです

サウナ、温水プール、フィットネスを完備

「あなたはいつだって、今がいちばん好き。ずっと前から、そしてこれからも。そんなあなたにふさわしいレジデンスです」。ピアノの伴奏をバックに、戦後を代表する国民的大女優・吉永小百合がゆっくりと語る。

合間に流れる映像ではダイニングで談笑し、ソファで雑誌を読み、大浴場の露天風呂に浸かり、バーでお酒を楽しむ人々の様子が次々と映し出された。三井不動産の手掛ける高級老人ホーム「パークウェルステイト」のCMだ。

2024年に竣工した旗艦物件「パークウェルステイト西麻布」(東京・港)に足を運び、驚かない人はいないだろう。西麻布に建つ地上36階建てのタワーという外観からして、老人ホームという概念を覆してくる。

渋谷から六本木方面への首都高からも、高層階の輝きはひときわ目立つ。中に一歩足を踏み入れると、高級ホテルと見まがうような広々としたロビーと、壁一面の窓から中庭の緑が飛び込んでくる。

高級ホテルのような豪華なロビー
筆者撮影
高級ホテルのような豪華なロビー

豪華なのは外観や入り口だけではない。水中エクササイズやジェット水流によるマッサージを楽しめる温水プールの隣にはサウナや炭酸浴槽も備えた大浴場、パーソナルトレーナーもつくフィットネス施設も完備。最上階の2フロアにまたがるダイニングでは、都心の景色を一望しながら帝国ホテルのシェフが手掛ける食事を楽しむことができる。

ジェット水流によるマッサージを楽しめる温水プール
筆者撮影
ジェット水流によるマッサージを楽しめる温水プール
パーソナルトレーナーもつくフィットネス施設
筆者撮影
パーソナルトレーナーもつくフィットネス施設
都心の景色を一望しながら帝国ホテルのシェフが手掛ける食事を楽しめるダイニング
筆者撮影
都心の景色を一望しながら帝国ホテルのシェフが手掛ける食事を楽しめるダイニング