「2人で5.4億円」でも問い合わせ殺到
介護が必要になった際に居住する介護居室フロアには24時間体制でスタッフが常駐しており、1階には慶應義塾大学病院と連携したクリニックが併設される至れり尽くせりぶりだ。
「今までの老人ホームとはまったく異なる、三井不動産グループの住宅やホテル、商業施設で培った企画力を結集したサービスレジデンスだ」
三井不動産レジデンシャルの嘉村徹社長は力を込める。
もちろん、贅を尽くしたこの空間に手が届くのはごく一部の富裕層に限られる。料金は年齢や入居者数によって異なるが、75歳で約49m2の1LDKに1人で入居する場合、一時金として約1億5000万円が必要だ。
加えて、共益費とサービス料として月額25万円ほどがかかる。130m2の部屋に2人で入居する場合の一時金は約5億4000万円で、月額の支払いは54万円弱となる。文字通り桁違いの世界だが、それでも経営者や資産家からの問い合わせは絶えず、想定を上回るペースで入居が進んでいるという。
パークウェルステイトは幕張(千葉市)や湘南藤沢(藤沢市)など郊外型の施設も開発しており、こちらは2人入居の際の一時金が5000万円台の部屋も用意されている。大企業や国家公務員OBといったアッパーミドルのシニアに快適な老後を打ち出す。
高級分譲マンションのような仕上がり
高齢者向けの住宅に力を入れる不動産デベロッパーは三井不だけではない。東急不動産は「グランクレール」、野村不動産は「オウカス」、大和ハウス工業は「ネオ・サミット」といった独自ブランドを立ち上げ、そして三菱地所は介護大手のチャーム・ケア・コーポレーションと組んだ「チャームプレミア」など、首都圏を中心に着々と事業を拡大している。
施設によってサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホーム、介護付有料老人ホームといった違いはあるが、どの建物も、一見、高級分譲マンションと見まがうような仕上がりとなっている。
背景にあるのは社会の高齢化だ。総務省の人口推計によると、2025年の時点で日本における65歳以上の高齢者は3619万人で、人口に占める比率は29.4%。現代の日本は地球の歴史上、世界のどの国も経験したことのない水準の高齢化に直面している。
これまで、住宅といえば結婚し子育てするための場として購入するケースが主流だったが、人口減少に価値観の多様化も加わり、一次取得者層自体が減少している。三井不レジの嘉村社長は分譲マンションについて「今後も増えていくということは正直ないだろうと思う」と話す。

