老後の不安を軽くするにはどうすればいいか。精神科医の和田秀樹さんは「介護の問題を不安に感じつつ、『誰かに頼らず自分で何とかしよう』と孤軍奮闘してしまう人は多い。老後の人生設計を立てる上で心強い味方となる介護保険の制度を知ることで、気が楽になるはずだ」という――。

※本稿は、和田秀樹『60歳からの 世にも愉しい「ひとり時間」の過ごし方』(永岡書店)の一部を再編集したものです。

貯金箱と高齢夫婦のフィギュア
写真=iStock.com/MonthiraYodtiwong
※写真はイメージです

蓄えは500万円もあれば十分

「老後2000万円問題」が大きな話題になったことがあります。

令和元(2019)年に金融庁の審議会報告書で「夫65歳・妻60歳で定年退職した世帯が、老後30年間暮らすには、公的年金だけでは約2000万円足りなくなる可能性がある」と試算したため、「貯金をしよう」という風潮が一気に広まりました。

けれども、実際にそれほど多くのお金を用意しておく必要があるのでしょうか?

私は「500万円くらいで十分だと思います。ゼロならゼロでなんとかなりますよ」とお伝えしています。

まず、「500万円」と書いたのは、介護保険を使えば、寝たきりになったときに入る有料老人ホームの入居費用も1人当たり500万円ほどで済むからです。

日々の生活においては、支給される年金があります。国民年金だけの人(自営業・専業主婦など)の受給額は月額平均で6~7万円ほど、会社員だった人(厚生年金あり)で月額平均14~15万円ほどでしょうか。

ここに仕事の報酬をプラスすれば、「生活が成り立たない」ということはないと私は思います。

「ゼロならゼロでなんとかなる」とお伝えしているのは、生活保護制度があるから。万が一、生活が成り立たなくなった場合は、生活保護に頼ればいいのです。「恥ずかしい」などと思う必要はありません。

これまで多くの税金を払ってきたのですから、それを返してもらうだけ。いざというときには当然の権利として使ってください。また、知らない人も多いかもしれませんが、年金収入の月額が国が定める最低生活費に満たなければ、その差額分がもらえるのです。

都市部・単身・高齢者の場合、「1カ月で11~13万円前後」を1つの目安としているようですから、年金支給額が目安よりも低くて貯金がない場合は、居住地域を所管する福祉事務所(または町村役場)に生活保護の申請をしてみてください。