還暦を過ぎてキャリアチェンジを迫られたらどうすればいいか。元官房長官で弁護士の枝野幸男さんは「61歳での落選というキャリアの強制リセットは、結果として、同年代のサラリーパーソンたちが直面している境遇に、私自身を近づけることになった。落選後の春、花見の時期にその同期たちはやけにあっさりと声をかけてくれて、かえって救われた気持ちになった」という――。

※本稿は、枝野幸男『再出発 落選という現実を力に変える』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

2024年10月14日、八王子駅前で有田芳生の応援演説をする枝野幸男氏
2024年10月14日、八王子駅前で有田芳生の応援演説をする枝野幸男氏(写真=Noukei314/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

国会のない日常で一番変わったこと

落選という人生初の苦い体験を経て、私は61歳にして「一人の有権者」として再出発することになりました。

生活面で最も大きく変わったのは、言うまでもなく国会の日程に縛られなくなったことです。

現職時代は、平日の日中に衆議院の本会議や委員会、それにともなう党の会議が分刻みで入るため、自分の意思で先々の予定を組むことは簡単ではありませんでした。それが今は、忙しい日々ではあるものの、時間の融通がかなり利くようになっています。

生活の拠点が東京から地元・大宮へと完全に移ったことも大きな変化です。

朝6時の起床時間は現職時代と変わりませんが、以前のように議員宿舎から議員会館へ向かう途中でコンビニのパンをかじるといった慌ただしさはなくなりました。今は、自宅でトースターから焼き上がったパンを食べて一日を始めることも多くなっています。

予定が詰まっていなくても、朝一番にパソコンに向かってデスクワークを行う習慣は、学生時代から続く私の「朝型」のペースそのものです。それでも8時からの会議に向けて周囲と調整に追われていた現職時代とは、精神的なゆとりがまったく違います。