政治家のやりがいとは何か。元官房長官で弁護士の枝野幸男さんは「政治家の仕事には、他の何物にも代えがたい『圧倒的なやりがい』がある。そして何より、私が熱意と気力を維持し続けられたのは、有権者から直接かけられる一言があるからだ。私の政治家人生を決定づけた、忘れられない原体験を紹介する」という――。

※本稿は、枝野幸男『再出発 落選という現実を力に変える』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

横浜駅で街頭演説をする枝野幸男氏(立憲大作戦2021)
横浜駅で街頭演説をする枝野幸男氏(立憲大作戦2021)(写真=Noukei314/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

年収2000万円超の国会議員の懐事情

「国会議員って、めちゃくちゃ儲かるんでしょう?」

これも実によく言われる誤解です。確かに、数字だけを見ればそう思われるのも無理はありません。

国会議員には、税金から年間約2000万円以上の「歳費(給与)」が支払われ、それとは別に、非課税の「調査研究広報滞在費(旧・文通費)」が毎月100万円支給されます。

さらに、国が給与を負担してくれる「公設秘書」が3人までつけられ、JR全線が乗り放題になる無料パス(遠方の議員には月数回の航空券)まで支給されます。

これだけ見れば、2~3期もやれば、一財産築けるのではないかと思うかもしれません。しかし、現実は大きく異なります。国会議員は、決して儲かる「職業」ではありません。

会社員の感覚で「年収2000万円」と言えばかなりの富裕層ですが、国会議員という立場の本質は「自営業」に近いのです。

商売をやられている方なら直感的にご理解いただけると思いますが、例えば、毎月200万円の「売上」があっても、そこからオフィスの家賃を払い、光熱費を払い、仕入れ代金を払い、従業員の人件費を払い、そうした経費が200万円に近ければ、手元に残る利益はわずか。最悪の場合は赤字になる――それとまったく同じ構図なのです。

永田町における議員の歳費などは、個人の給与というより、「枝野幸男商店」の売上と考えるのが実態に近いと言えます。ここから政治活動を維持するための莫大な「経費」を自腹で出していかなければなりません。