健康に長生きするには、どんなことに気を付けたらいいか。老年科専門医で、名古屋学芸大学教授の下方浩史さんは「麺類は調理が簡単で重宝されるが、選び方や食べ方を一歩間違えると、糖尿病や慢性腎臓病、さらには誤嚥性肺炎の原因にもなりかねない」という――。
※本稿は、下方浩史『90歳まで健康長寿』(文春新書)の一部を再編集したものです。
高齢者の「つるつる食べ」はリスク大
麺類は柔らかくて食べやすい。さらにそばやうどんは、調理が簡単な上、値段も手ごろ。米価が上がっている現在、注目を集めるのもうなずけます。
麺類は、咀嚼力や食欲が落ちた高齢者にメリットがある一方で、注意点もあります。糖質を多く含む麺類を食べ過ぎると高血糖状態となり、糖尿病を発症する恐れがあるのです。また、だしやスープなどには、塩が多めに入っています。全部を飲み干してしまうと塩分過多になって、血圧の上昇につながります。
また、麺類の食べ過ぎは、歯周病の原因となります。糖質を大量に摂っていると口の中で菌が増えやすくなるためです。つるつると簡単に飲み込めるので、噛まずに食べることが歯周病の要因となるとも言われます。よく噛むことによって唾液がたくさん分泌され、口の中を清潔に保つ働きがあります。
実は唾液には細菌の増殖を抑える成分が含まれています。柔らかい麺類ばかりを食べて噛む回数が減ると、唾液の分泌が少なくなり、口腔内が乾燥して細菌が繁殖しやすい環境になるのです。
厚労省「歯科疾患実態調査」(2022年)によると、歯周ポケットが4mm以上のいわゆる歯周病の人の割合は65〜74歳で56.2%と年代別で最も多い。歯周病によって口腔内の細菌が肺に入った場合、誤嚥性肺炎のリスク因子となってしまいます。

