憧れの大台「TOEIC800点」。勉強を続けているのに、あと一歩で手が届かないのはなぜか。戦略を知り、コツを押さえると誰でもこの壁は突破できる。超効率的な勉強法を紹介する。
Score Making
TOEIC「800点の壁」突破の早道はリスニングの集中強化

高得点帯になるほど「点が伸び悩む」理由

TOEIC800点というのは、単なるスコア以上の意味を持つ「節目」。データで見ると、800点以上の取得者は受験者全体のおおむね上位15%に入ります。偏差値で言えば60レベルであり、まごうことなき「難関」です。

Haru 登録者数13.8万人のYouTubeチャンネル「Haru English」運営者。国内での学習でTOEIC990点満点を達成。目下、リスニングに特化した解説書と、TOEIC直前対策本2冊を同時執筆中。最新刊は『TOEIC L&R TEST 英単語ピーナツほどおいしいものはない』(共著/南雲堂)。
Haru
登録者数13.8万人のYouTubeチャンネル「Haru English」運営者。国内での学習でTOEIC990点満点を達成。目下、リスニングに特化した解説書と、TOEIC直前対策本2冊を同時執筆中。最新刊は『TOEIC L&R TEST 英単語ピーナツほどおいしいものはない』(共著/南雲堂)。

それだけに、昇進や転職への影響も絶大です。IIBC(国際ビジネスコミュニケーション協会)の調査によれば、ほぼすべての業界・役職において、800点あれば昇進要件をクリアできるといいます。役員クラスの要件ですら800点が基準とされていることが多いため、このスコアを持っていれば「英語が障壁でキャリアが止まる」ことはまずなくなります。

私自身は留学経験のない、いわゆる「純ジャパ」ですが、大学1年生のときに受けたIPテスト(団体特別受験制度)で500点台というごく平凡なスコアからスタートし、大学4年生で700点を超え、修士課程で900点に到達し、最終的に満点を取得するまでには、多くの試行錯誤がありました。なかでも700点台から800点の大台に乗せるまでには、やはり「壁」とでもいうべきものが存在したという実感があります。

500点から700点までは、覚えた知識がそのままスコアに反映されやすいため、比較的短期間で到達できます。しかし、点数が上がるにつれて、次の100点を上げるための距離は長くなります。覚えるべき単語の出現頻度が下がる一方で、求められる情報処理の精度は上がっていくため、「以前と同じくらい勉強しているのに伸びない」と感じるのは自然なことなのです。

リスニングで一気に70~80点を積み増す

私の結論から言うと、700点台で伸び悩むか、800点に手が届くかの分かれ目は「リスニング」にあります。

700点台を取れる人は、基礎的な語彙や文法はおおむね理解しています。リーディングならば、パート5の「短文穴埋め」問題を全問正解できてもおかしくないレベルです。パート6&7の「長文(穴埋め、読解)」問題も、時間をかけて解けば8〜9割は正解できるでしょう。しかし、リスニングとなると理解の精度が急に落ちてしまう。それが「800点の壁」の正体です。

その最大の要因は「スピード」と「音声知覚」にあります。文法や単語が「頭ではわかっている」状態であっても、ネイティブ特有の話の速さや、ナレーターごとの発音のクセやアクセントに圧倒されて、頭の中での整理が追いつかなくなってしまうのです。

したがって、800点の壁を最速で突破するには「リスニングを集中強化し、リーディング対策は後回し」という戦略が有効だと考えます。具体的には、リスニングで410点前後を取ることを目指します(下図参照)。700点のモデルスコアと比較すると、加点する100点の内訳は4対1でリスニングに偏ることになります。

TOEIC700点→800点のモデルスコア

これほどまでにリスニングを優先するのは、TOEICのリーディングはリスニングと比べて相対的に語彙や文法のレベルが高く、点数を伸ばしにくいからです。日本語の問題であっても迷うような「引っかけ選択肢」も登場しますし、75分間の制限時間内に解き終えるにはWPM(読書スピード)も高いレベルで求められます。

これに対してリスニングは、聞こえてさえいれば正解できる素直な問題が多く、対策の効果が出やすいのが特徴です。また、正答数そのままではなく、難易度や受験者全体の成績分布に合わせてスコアが調整されるTOEICの採点では、リスニングは4〜5問くらい間違えても満点が出せるというアドバンテージもあります。