※本稿は、篠原菊紀『脳を乗っ取る感情からあなたを守る方法』(日経BP)の一部を再編集したものです。
目的別に使い分ける「褒める方法」
日常的に接している相手ほど、当たり前になっておろそかになりがちなのが「褒める」という行為かもしれません。組織の人間関係などでは、部下をどう褒めればいいか、褒めすぎも良くないのか……などと迷うことも多いですよね。今回は「褒め方」について見ていきましょう。
中間管理職の立場にある人と話をすると、「部下をどう褒めたらいいのかがわからない」と悩んでいる人が多いようです。部下のモチベーションを高めたい一方で、褒めすぎるとそれが当たり前になってしまい、かえってやる気が伸びないのでは、など、悩みはつきないようです。
ここでまず、褒める目的はどこにあるのかを考えてみましょう。たとえば、「部下を褒める」ときには、褒めることによって相手の行動をねぎらいたいというほかにも、モチベーションを高めてもらって次の成果にも結びつけてほしい、という目的があるかもしれません。
じつは、褒めるときには、目的別に2つの方法があります。今お話ししたような、相手のやる気を高めたいときの場合には「具体的な行動を褒める」、一方、相手が意欲や自信をなくしてしまっているようなときには「相手の存在そのものを褒める」のが大切です。
「伸ばしてほしい行動」を褒める
つまり、目的によって、何を褒めるか、どう褒めるかが違ってくるのです。部下のモチベーションを高めたいときには、脳でいうなら「行動と快感を結びつける」ことが有効です。
「この行動をしたら褒められた!」という経験によって、脳では、やる気の中核と言われる「線条体」が活性化します。
線条体とは、快感に関わるドーパミン神経とつながっている部位で、行動と快感が結びつくことによって意欲が高まる、つまり具体的な経験の蓄積をエサにして活性化しやすくなる部位です。
ですから、「がんばったね」というレベルではなく、さらに具体的に「伸ばしてほしい行動を褒める」のがコツです。
たとえば、「取引先は判断に時間がかかる人だから、今回、早めに連絡しておいてくれたことが功を奏したよ、ありがとう」とか「作ってくれた資料の見出しのあのフレーズは斬新だったね」というふうに、具体的に伝えます。そのためには、相手のとった行動を細かく分解して、相手に応じて褒めポイントを見つける観察力も必要になります。
「褒めれば伝わる」と思っていると、「がんばったね」「今回は大変な仕事だったよね」というふうに、ふわっとした伝え方をしがちになります。より具体的に相手の行動をかみ砕いて伝えるほうが、相手のモチベーションアップにつながるのです。

