プーチン大統領はいつまで戦争を続けるのか。拓殖大学客員教授の名越健郎さんは「プーチン大統領は政権内部や友好国の首脳から早期停戦を進言されても意に介していない。ロシアでは9月18から20日にかけて、ウクライナ侵攻後初の下院選が実施される。国内では戦争泥沼化への不満が高まるが、政権は下院選後、兵力不足を補うため動員に着手して強行突破を図る可能性もある」という――。
2026年7月27日、ロシア・モスクワにあるクレムリンで、ウラジーミル・プーチン大統領が、第8期国家ドゥーマ(国下院)議員らとの会合で演説を行った。
写真=Sergey Bobylev/SPUTNIK/時事通信フォト
2026年7月27日、ウラジーミル・プーチン大統領はロシア・モスクワのクレムリンにおける第8期国家ドゥーマ(国下院)議員らとの会合で演説を行った。

側近の進言を一蹴したプーチン大統領

プーチン政権では、ロシア軍が現在の前線で戦闘を凍結すべきか、それともドンバス地方全域の制圧を目指すべきかが争点になっている模様だ。

ロイター通信は7月9日、クレムリンに近い複数の情報筋の話として、大統領側近らが戦争長期化を防ぐため、現在の前線で戦闘を停止するよう大統領に進言したと報じた。

ロシア軍はこれまでに、クリミア半島と南東部4州というウクライナ領土の約2割を実効支配しており、これを成果に停戦に持ち込むよう提言したものだ。

しかし、プーチン大統領は戦争凍結を訴えた側近らを叱責し、ドンバス地方の完全制圧を命じたという。ロイターによれば、ウクライナ軍のドローン攻撃が大統領の怒りを高め、「強力な反撃」を軍に指示したという。

報道が事実なら、戦争が泥沼化する中、クレムリン内部で早期停戦論をめぐり、意見対立があることを意味する。

ロシア国内に広がる停戦論

停戦論をめぐっては、カザフスタンのトカエフ大統領が7月25日、西シベリアのオムスクでプーチン氏と会談し、「この紛争の性質を理解するのは難しい」「若い人々が命を落としており、止めるべきだ」と述べて注目された。トカエフ氏は各国からこの旨進言するよう要請を受けたと述べ、二人のやりとりはロシア国営テレビで報じられた。

ロシアのSNS・テレグラムで発信する新興の独立系情報チャンネル「クレムリンのたばこ入れ」(7月27日)によると、トカエフ発言はロシアのエリート層を動揺させ、停戦支持派が急増した。軍内部でも、生きたいという気持ちから、特別軍事作戦の終結を求める声が増えているという。

同チャンネルはまた、トカエフ氏の呼び掛けの背後に、中国の習近平国家主席がいる可能性があると指摘した。