※本稿は、本田直之『セカンドハーフ戦略 人生後半戦、何を捨て、何を始めるか』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
4年間で16キロ太った
きっかけは新型コロナウイルス感染症の世界的流行だった。
2009年から続けてきたトライアスロンの大会が、次々に中止になった。大会がなくなると、トレーニングの目的も消える。気づけば、あれほど続けてきた有酸素運動がほぼゼロになっていた。
自分は意志で動いているつもりだった。でも実際には、大会という目標や、そこに向かうスケジュールにかなり支えられていたのだと思う。
一方で、ほとんど毎日夜は外食という生活。そして食欲は止まらなかった。
「お腹いっぱいに食べる」というレベルではなかった。もっと深刻だった。
たとえば、金沢で夜6時から夕食の予定があるとする。新幹線に乗るのは午後2時頃。それでも、駅弁が食べたくなる。新幹線に乗ると、自動的に駅弁を買っていた。
「食べること」に支配されていた
「食べなくていい」とわかっていても、手が動いていた。夕食を済ませた後も、帰り道に酔った勢いでコンビニに寄り、アイスやおにぎりを買ってしまう。「なぜ買うんだろう」と思いながら、買っていた。
これは食欲の問題ではなかった。糖質にコントロールされていた。完全に。
後から振り返れば、薬物依存に近い状態だったとわかる。でも当時は、自分がそこまで深刻な状態にあるとは気づいていなかった。「ちょっと食べすぎているだけだ」と思っていた。
もう一つ、見落としていた原因があった。
コロナ前、僕は年の半分弱をハワイで過ごしていた。日本での暴飲暴食も、ハワイに戻ることでリセットできていた。海が近く、自然に体を動かす機会が多い環境が、習慣のバランサーとして機能していた。
「もしハワイに行けなくなったらやばいね」と周囲に話していたくらいだ。それが現実になった。コロナによる渡航制限で、そのバランサーが消えた。
「食べることが好き」と「食べることに支配されている」は、まるで別の状態だ。僕は自分が後者になっていることに、気づいていなかった。
糖質には依存性がある。食べれば食べるほど、また食べたくなる。脳内でドーパミンが放出される快感のループ。しかも僕は胃腸が強い。食べようと思えば、いくらでも食べられてしまう。そのことが、余計に状況を悪化させていた。
ダイエットは何度も試みた。一時的には減る。でも、必ず戻る。リバウンドのたびに体重は増えていった。
「またダメだった」「また戻った」。その小さな敗北感が、毎日積み重なっていく。

