リバウンドの敗北感と、頭に霧がかかる感覚
体重の問題は、いつの間にか自己信頼の問題に変わっていた。
毎朝、体重計に乗るたびに気分が沈んだ。増えていればもちろん落ち込むし、減っていても「どうせまた戻るんじゃないか」と感じる。一日の始まりが、小さな敗北感から始まる。その積み重ねが、どれほど一日の質を下げていたか。後から振り返って、はっきりわかった。
もう一つ、気になっていたことがあった。頭が重い。朝から頭に霧がかかっているような感覚。午前中の思考が、以前ほど鮮明でない。これは太ったこととは別の話だと思っていたが、後になってつながってくることになる。
若い頃なら、それでも何とかなった。少し食事を減らす。少し運動する。しばらく絞る。それで、また元の身体に戻すことができた。
でも50代からは違った。
過去のやり方では、もう勝てなかった。
50代の身体は別ルール
50代の身体は、若い頃の延長では考えられない。
少し食事を減らし、少し運動すれば戻る。かつて通用していたそのやり方が、もう効かなくなっていた。
まず、筋肉量の低下が加速する。
30代後半から筋肉は落ち始めるが、50代以降はそのスピードが増す。筋肉は単に見た目の問題ではない。基礎代謝を支えるエンジンだ。
筋肉が落ちれば、同じ食事量でも太りやすくなる。同じトレーニングをしても、消費カロリーが減る。
次に、ホルモンバランスが変わる。成長ホルモンやテストステロンが減少し、脂肪がつきやすく、筋肉がつきにくい身体になっていく。これは意志の問題ではない。構造的な変化だ。
そして、回復力が落ちる。若い頃は多少無理をしても翌日には回復できた。
50代では、同じことをすれば怪我につながり、回復にも時間がかかる。身体は正直だ。無視すれば、向こうから教えてくる。
ここでも、20代や30代と同じ「少し頑張れば戻る」戦略は、50代には通用しないのだ。同じことをもっと頑張っても、結果は出にくい。むしろ逆効果になることすらある。
誤解してほしくないのは、『セカンドハーフ戦略』はダイエット本ではない、ということである。断食や筋トレの細かい手法を伝えたいわけではない。
伝えたいのは、50代以降は身体づくりも別ルールだということだ。一時的に痩せるのではなく、身体のOS(オペレーティング・システム:基本ソフト)そのものを入れ替える。その発想に切り替えたからこそ、僕は身体を変えることができた。

