③筋肉という「代謝インフラ」をつくる
トライアスロンを始めたとき、僕は筋トレを一切やめた。「見せる筋肉はいらない。使える筋肉だけあればいい」と思っていたからだ。
ところが人生の後半になると、筋肉が落ちるスピードは想像以上に速い。気づけば、ごっそり失われていた。
そこで、15年ぶりにパーソナルトレーナーについてもらい、科学的に筋トレをやり直した。すると、しっかり筋肉が戻ってきた。
なぜ、筋肉にこだわるのか。筋肉が減れば、基礎代謝が下がる。しかも減量中は、放っておくと脂肪だけでなく筋肉も落ちていく。これが、リバウンドしやすい体をつくる。
逆に、タンパク質を摂り、筋トレで筋肉を守れば、基礎代謝が保たれる。さらに、歩く、立つ、階段を使うといった日常の動きでも消費しやすくなる。食事制限だけで痩せた人がすぐ戻るのは、この「代謝インフラ」がないからだ。
④知識で、自分を「洗脳」する
続ける力は、気合いではなく知識から来る。
歩きながら、走りながら、Audibleで断食や栄養の本を聴き続けた。科学的な裏づけが「なぜやるのか」を腹に落とし、それがそのままモチベーションになる。本、論文、そして最近はAIも使う。正しい知識は、いわば前向きな自己洗脳だ。
とくに旅行に行くと、「このまま太ってしまいそうだな」と不安になる。そういうとき、知識を入れ直すと、「また正しい方法を続けよう」と思える。知識があれば迷いが減る。迷いが減れば、行動が続く。
⑤「簡単だけど毎日」を、3で自動化する
最後は、拍子抜けするほど簡単なことだ。毎日走る必要はない。1万歩、歩くだけでいい。負荷を下げるほど、習慣は残る。
効いたのは、「3」という数字だった。3日で体が慣れる。3週間で抵抗が消える。
3カ月で、やらないほうが気持ち悪くなる。この節目を越えるたびに、行動は「意志でやること」から「勝手にやっていること」へ変わっていく。
この五つがそろうと、体は「ダイエット後の体」ではなく、「太らない体」になる。実際、2025年2月以降のベトナム、タイ、メキシコ旅行でも、食べ歩きながら体重を維持できた。旅先でも崩れないと分かったとき、初めて「ダイエット」ではなく「OSの入れ替え」ができたと実感した。
ダイエットは、終われば元に戻る。OSを変えれば、それが新しいデフォルトになる。
この取り組みを支えていたのは、もう一つの「やめる」だった。完璧主義をやめたのだ。
以前は「今日は食べすぎた」と思った瞬間に、「どうせもうダメだ」と開き直っていた。100点が無理になったとたん、0点に走る。ラーメンをハシゴする。どか食いする。
いまは、食べすぎたら翌日少し軽くする。増えたら、1週間から10日で戻す。完璧を目指さない代わりに、途中で投げ出さない。大事だったのは、厳しさよりも、戻し方だった。

