2022年2月から始まったウクライナ戦争で、ロシア軍兵士として戦った日本人がいる。日本人兵士は、どのような扱いを受けていたのか。ロシア軍の特殊部隊「アフマット」に所属する金子大作さんは「最初は差別されることを覚悟していたが、むしろ日本人兵はどこでもスター扱いされた。ただ、ロシア兵の実態は想像以上にひどいものだった」という――。(第1回)
※本稿は、金子大作『ロシア軍の日本人兵士 最強の特殊部隊「アフマット」で見た地獄』(講談社)の一部を再編集したものです。
差別を覚悟していたが…
日本人はロシアで大人気だ。僕が日本人だとわかると、決まってスター扱いされた。
「日本人か! 初めて見たよ。写真撮ってくれ」
嘘ではない。テレビ電話で家族に繋げ、「日本人だぞ」と自慢する奴も多かった。見ず知らずの奥さんや両親と話したことは数え切れない。
ロシアに渡る前は、差別も覚悟をしていた。ところが、一度も差別されたことがないばかりか、ロシア人はどこまでも面倒見が良くお節介焼きだった。僕は次第にロシアの人々の人柄にも惚れていった。それほどロシアでは日本人を好意的に受け止めてくれる。
ただし、「日本政府」となると話は別だ。ロシアと対立する日本政府に、嫌悪感を抱いているロシア人も少なくない。軍隊にいるとたびたび聞かれるテンプレのようなセリフがある。
「なぜ日本はロシアと仲良くしないのか」
「なぜアメリカと仲良くするのか」
ロシア人の多くが、日本製の電化製品を使用して日本車を愛する。日本車を持つのは、ロシア人男性のステータスだ。軍人は高給取りだが、彼らが所有したい車はベンツでもBMWでもない。憧れの日本車だ。
「トヨタのマークXを400万円で購入した」
心から嬉しそうにそう語る仲間もいた。SVO以降、日本政府はロシアへの自動車輸出を認めていない。そのため、韓国・中国を経由して日本の中古車がロシアに渡ってくる。その分、値段は高騰するが、それでもロシア人は日本車の購入を諦めない。

