豊臣秀吉が最も頼りにした蜂須賀正勝(小六)とはどんな人物だったのか。歴史評論家の香原斗志さんは「近年の研究で、冷徹な判断力を備えたすぐれた交渉人だったということがわかっている」という――。

NHK大河で気になる蜂須賀正勝のその後

NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」もいよいよ佳境に入った感がある。第36回「姫若子と鬼若子」(9月20日放送)では、百姓の家に生まれた羽柴秀吉(池松壮亮)が、ついに権力の頂点である関白に上り詰めた。また、この回は羽柴秀長(仲野太賀)が総大将を務めた四国征伐が描かれ、長宗我部元親(磯部寛之)に焦点が当たったが、もうひとりクローズアップされた人物がいた。蜂須賀正勝(高橋努、いわゆる小六)である。

『美談武者八景 矢矧の落雁』月岡芳年・筆
『美談武者八景 矢矧の落雁』月岡芳年・筆(写真=CC-PD-Mark/Wikimedia Commons)

まず、戦場で負傷した姿が映し出された。手当てをしている正勝に秀長が駆け寄り、「正勝殿、いかがした?」と尋ねると、「案ずるでない、これしきなんでもないのや」と笑い飛ばし、「まだわしは」といいながら立とうとするが、立つことができない。

そこに大坂からの使者がきて、「これ以上手を焼くなら自分が出陣する」という秀吉の意向が伝えられた。だが、それでは元親を説き伏せたい秀長の思いは報われない。すると正勝が、「上様(秀吉のこと)は、わしが説き伏せて参る」と申し出た。実際、大坂に戻り、秀吉に「秀長殿は総大将として立派に戦っておる。このまま見届けてやってくだされ」と談判した正勝は、秀吉から「あと3日だけ待つ」という言葉を引き出した。

これは「豊臣兄弟!」はじまって以来の、蜂須賀正勝の見せ場に思えた。そこで気になるのは、正勝の今後である。ドラマで体調が悪化しつつ、見せ場がもうけられたとなると、その人物の退場が近いというのが相場だからである。